放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、TBSの新人・野村彩也子アナウンサー(23才)について。

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「ミスコンのファイナリスト」はマスト。昨今は「元・読者モデル」「元・タレント」「元・アイドル」といったプロフィールも珍しくなくなった在京局の女性アナウンサーたち。

 加えて稀に「大物二世」というのもいるのだけれど、あの高橋真麻でさえ、フジテレビの新人アナ時代にはそれを前面に出すことはなかったような……。まぁ、彼女の場合、それ以上に尋常ではない歌唱力のほうで売っていたのだが。

 そのフジテレビでいうと、春から『とくダネ!』のMCになることが発表された永島優美アナも「大物二世」と言える。元サッカー日本代表で、『FNNスーパーニュース』のスポーツ担当として、激しく噛むことを安藤優子キャスターに度々ツッコまれていた「永島昭浩氏の娘さん」である。だが、それよりは、高いアナウンス力やエキゾチックなルックスなどで「すごくイイ子が入ってくれるらしい」と内定時から局内で大評判だったものである。

 だが、“初鳴き”のときから漏れなく「野村萬斎の娘」として大々的に紹介されるのが、TBS入社1年目の野村彩也子(のむら・さやこ)アナだ。「ミス慶應SFCコンテスト2018」でグランプリに選ばれたり、父や弟の野村裕基と共に出演した「KUMON」のCMは記憶に新しい。当時から愛らしいルックスも評判だったのは確か。

 同期が男性の齋藤慎太郎アナ一人だというのも野村アナへの“チヤホヤ”が止まらない要因だ。

 近年、TBSの女性アナウンサーは人材が豊富で、実力や美貌のみならず、キャラ立ちタイプも少なくない。“先輩”という余裕から、野村アナに対する“ザワつき”がないことを願いたい。

萬斎氏が五輪の演出から外れてTBSはガッカリ?

 とにかく、“イマドキ”の女性アナウンサーとして、これ以上ないほどの要素を兼ね備えている野村アナなのだが、同僚(特に先輩男性アナや局内外の男性スタッフ)が「お父様」の話題を出しすぎるきらいがあるのだ。

 野村萬斎氏が東京オリンピック・パラリンピックの開会式・閉会式の演出統括だから…と考えるのは私だけだろうか。

 が、御存知のように、昨年12月22日、総合演出チームは解散。2017年の就任会見で「シンプルかつ和の精神に富んだものにしたい」「機知に富んだ手法、発想を、デジタルなものを含めて遺憾なく発揮したい」としていた野村氏の想いは、佐々木宏氏に継がれた。

 私が野村アナの採用担当だったとしたら、この時点でものすごくガッカリしたと思う。開閉会式演出統括者の娘がウチにはいる。中継時、“いいこと”があるのではないか…と考えた人がゼロだったとは考えにくい。

 ちなみにTBSにはスキージャンプの高梨沙羅選手の兄・寛也さんがいて、数字をもっている妹・沙羅選手と『ぴったんこカン・カン』で共演している。寛也さんはスポーツ局に所属しているようなので、記者と選手として、2022年北京オリンピックでの兄妹共演が期待できる。これと酷似したケースが、野村萬斎氏と野村彩也子アナではなかったか。

 この数日、彼女を頻繁に見る機会があった。まずは22日オンエアの『ぴったんこカン・カン』だ。TOKIOの長瀬智也主演『俺の家の話』初回直前ということで、長瀬や桐谷健太、永山絢斗、江口のりこがスタジオに。VTRで戸田恵梨香が出演するという豪華な布陣の中に、まるで新人女優であるかのように振る舞う野村アナの姿があった。

長瀬智也も「野村さんのご自宅も…」と“逆質問”

 2度目の緊急事態宣言下で番組が得意とするグルメロケには出られず、グリーンバックのクロマキーの背景を頻繁にチェンジしながら、テイクアウトやデリバリーした品を各自が“レンチン”して食すというひとときだ。

 視聴者の皆さんで「あ、野村彩也子アナが出てる!」とわかった方はまだ多くはないだろう。私でさえ、最初は、この女優さん、なんていう名前だろう? どんな役で出るんだろう?と勘違いしてしまったぐらい。

 というのも、野村アナは、長瀬や桐谷、永山らと同じサイズで“顔出し”し(←これは野村アナの責任ではないのだが)、女子アナというよりは“共演女優”のような表情と、尋常ではない目ヂカラでモニターを見つめていたからだ。

 一方、局アナとしての“わきまえ”が完璧で、どんなときにも決してタレントより前に出ることのない安住紳一郎アナは椅子を後ろに下げていたのだろうか。顔のサイズを小さく見せていたのだからスゴイ。

 他の女性アナウンサーが出ていても同じようなことになる? それはどうだろう。例えば、昨年末、同番組のクリスマススペシャルに出ていた日比麻音子アナは、“現れ”が、ちゃんと“局アナ”だった。

 野村アナについては、番組中盤、手持ちフリップを出し始めるようになってから、やっと「女子アナなんだ」「そうだった、野村萬斎さんの娘さんだ」とわかった視聴者が増え始めたのではないか。

 ところが、ダメ押しされるような場面があった。桐谷健太が『俺の家の話』での役どころを説明し始めたときのことだ。ちなみに桐谷は、西田敏行演じる「能楽」の観山流宗家・観山寿三郎の芸養子・寿限無である。

 続いて「家がすごい広くて稽古場とかがあって」とセットの説明を始めたのは長男・寿一役の長瀬。続いて「野村さんの御自宅も、そういうカンジなんですか?」と聞いたのである。

 これはスゴイ。金曜ドラマの主演俳優が、わざわざ入社1年目の新人アナをたてる質問をするとは……。台本にそうあった? カンペが出た? それとも長瀬くんのサービス? いやそこは断っても問題なかったと思うのだが。

 ここからの野村アナの堂々とした様子は、やはり“大物”感に溢れるものだった。「地下に稽古場があって」「特別に木から選んで」と全く躊躇することなくスラスラ答え始めたのである。

 その昔、局アナは自分の話をしないように叩き込まれていたものだ。アナウンサーはあくまで“聞き手”。たとえば局アナにインタビューや鼎談への出席をお願いすると、現場に広報担当や番組プロデューサーが付きっきりになって文言のチェックをする。もちろん、校正でも、アナウンサーの“意見”や“プライバシー”には赤が入ってくる。

 局アナがフリーになり、番組コメンテーターやバラエティのヒナ壇に座っても、当初いい仕事ができないのは、これが理由でもある。しかも局アナ時代、仕切りに定評があった者であればあるほど、MCから質問されて、また質問で返してしまうことも少なくない。

「自分のことを話そうとすると『お前の話はいいんだよ』とスタッフに言われていた」とこぼしていたのは、テレビ東京を経て、現在もっとも売れているフリー女子アナ、鷲見玲奈。『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)に出演したときの話だ。

 いい悪いではなく、確かにこれが局アナの“当たり前”。同じような会話をテレビ局で何度耳にしたことだろうか。自局の看板番組に他局出身の女子アナを起用することがダントツに多いTBSではもっとも多く聞いたような気もする。

 しかし、野村アナは“特別”なのである。「能楽師!  狂言方! 和泉流! 二世! 自分で言いづらいだろうから言っておいた」とは安住アナ。在京局男性アナウンサーとしてダントツの人気を誇るも、どこかで客観視できている安住アナは、野村アナの“立場”を理解しながらも、決して特別扱いもしていないと見えた。が、ラジオを始め、他番組での野村アナと絡む他の先輩男子アナの中には、特別ゲストでも来たかのような扱いをしている人もいて、また驚かされる。

番組側が「お父さんにはどのようなチョコを?」

 驚くといえば、『ぴったんこ〜』の翌日の『まるっと!サタデー』でも、こんなシーンがあった。『サロン・デュ・ショコラ』に出店されるチョコの食リポをしていた野村アナ。「冷蔵庫に常にチョコレートをストックしてある」という割には、“先輩”田中みな実アナほどの“チョコ愛”も、“大先輩”楠田枝里子アナほどの“知識”もなく初々しい内容にとどまった。それはいいのである。VTRのシメ、「最後にスタッフからこんな質問が」とのナレーションが入り「お父さん(野村萬斎さん)には、毎年どのようなチョコをあげてる?」と…。必要だっただろうか、このくだり。なんだか野村アナが気の毒になってしまった。

 受けのスタジオには駒田健吾アナと田村真子アナがいたのだが、なぜかVTRのオチをスルー。野村アナの“扱い”は局内でも人それぞれなのかもしれない。

 というのも、野村アナ、その前のコーナーでは、森進一と森昌子の三男、Hiroこと森内寛樹にインタビューし、父の教えなどについて聞いていた。が、ここでは「野村家」の話はナシ。二世トークをさせたいなら、ここで出すほうが自然だと思ったものだが。

 新人アナウンサーには似つかわしくない“環境”に置かれてしまっている野村アナには、私が見る限り、フロアにいるスタッフのリアクションをうかがいながら進行するクセがある。新人ゆえ、まだ自信がないのかもしれないが、“お父さんネタ”を喜び、重用するスタッフが居る限り、このクセは直りにくいかもしれない。

 ラジオと兼営のTBSは、アナウンサーへの指導が他局よりも厳しい。私がアナウンサーの人たちと頻繁に仕事をしていた30年程前、女性アナウンサーには“職人”のような実力をもち、指導力にも優れた人が多かった。宇野淑子さんや遠藤泰子さん、菅原牧子さん、吉川美代子さんらが居たら、野村彩也子アナにどんな言葉をかけたことだろう。

「野村萬斎さんの娘」だけでなく、持ち前の大物感や存在感が、彼女のアナウンス力に好影響を与えることを願ってやまない。とにもかくにも、野村彩也子アナは“大物”なのだから。