土曜の午前中からお昼すぎにかけて放送されるおなじみの情報番組『王様のブランチ』(TBS系)。この春から、同じ時間帯で、指原莉乃がMCを務める情報番組『ゼロイチ』(日本テレビ系)がスタートした。注目が集まる土曜の“情報番組バトル”の現状と今後の展開について、コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

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 春の新番組がスタートしてまもなく2か月になりますが、この間さまざまな声が飛び交っていました。

 まず情報番組で話題を集めたのは、平日朝の『めざまし8』(フジテレビ系)と『ラヴィット!』(TBS系)。同時間帯の『スッキリ』(日本テレビ系)と『あさイチ』(NHK)も女性キャスターを変更したことで朝8時台そのものが話題の中心になっていましたが、「以前の番組から力関係にほとんど変化なし」という大勢が見えたからか、ここにきて落ち着きつつあります。

 平日朝8時台の番組が落ち着いたことで、次に業界内の注目を集めているのが土曜午前から昼すぎの情報番組。今春に生放送の新番組『ゼロイチ』がスタートしたことで、同タイプの老舗番組『王様のブランチ』との一騎打ちムードが高まっているのです。

 両番組にはどんな共通点と違いがあるのでしょうか。また、ここまでの2か月弱でどんな結果が出て、今後はどんな展開が予想されているのでしょうか。

テーマを網羅するか、絞って勝負か

 まず両番組の放送時間は、『王様のブランチ』が1部―9時30分〜11時45分(135分)、2部―11時59分〜14時(121分)。『ゼロイチ』が1部―10時30分〜11時45分(75分分)、2部―11時55分〜13時25分(90分)。『王様のブランチ』のほうが1部・2部それぞれの放送時間は長いものの、おおよそ同じ時間帯の番組と言っていいでしょう。

 次に放送内容ですが、15日に放送された主なコーナーを挙げていきます。

『王様のブランチ』は、1部が「エンタメニュースTOP15」「TVコーナー(『私が女優になる日』、TBSつぶやかれた番組ランキング、『クレイジージャーニー』など)」「ランキンリサーチ(最新アイス&取り寄せご当地アイスランキング)」「映画コーナー」「BOOKコーナー」「ブランチショッピング」、2部が「地方局の女子アナがおすすめお取り寄せグルメ」「買い物の達人」「語りたいほどマンガ好き」「おうちで楽しめる配信コンテンツ(PRODUCE101 JAPAN SEASON2特別編など)」「トレンド部(ルームツアーでお部屋グレードアップ)」。

『ゼロイチ』は、1部が「ゼロイチ経験旅(ロケ企画)」「ゼロイチ生チャレンジ(そらジローとねこ団長のリンボーダンス対決)」、2部が「親指姫(スマホで夢を叶えた女性を紹介)」「週間ゼロイチワード(番組厳選のエンタメ流行語TOP10)」「THE FIRST(ボーイズグループのオーディション)」。

『王様のブランチ』が生活情報やエンタメを網羅しているのに対して、『ゼロイチ』はテーマを絞って放送している様子がうかがえます。また、『王様のブランチ』は圧倒的な情報量をハイテンポで見せている一方、『ゼロイチ』はあえてゆったりとしたテンポの構成を採用しているように見えます。

 そのため『王様のブランチ』に慣れている人は、『ゼロイチ』に物足りなさを感じるかもしれません。逆に『ゼロイチ』は情報量の多い『王様のブランチ』の構成が苦手な人を集めようとしている感があります。

佐藤栞里と指原莉乃をどう盛り立てるか

 両番組の視聴率に目を向けると、15日は『王様のブランチ』が1部―個人2.9%・世帯5.5%、2部―個人2.7%・世帯4.9%。『ゼロイチ』が1部―個人2.8%・世帯5.4%、2部―個人1.9%・世帯3.7%。

 前週8日は『王様のブランチ』が1部―個人2.9%・世帯5.4%、2部―個人2.7%・世帯4.7%。『ゼロイチ』が1部―個人2.8%・世帯5.7%、2部―個人1.9%・世帯3.6%。

 放送時間が長い分、『王様のブランチ』のほうが不利なところはありますが、現在は「1部がほぼ互角」「2部が『王様のブランチ』が上回っている」という状況です。新番組の『ゼロイチ』が「健闘している」と見るか、「今はスタートのご祝儀視聴が多いだけ」と見るかは微妙なところですが、録画や配信での視聴が少ない生放送の情報番組は視聴率獲得が必須。互いにライバル番組を大きく下回ったら、思い切ったテコ入れ策が行われるでしょう。

 ここまでの2か月弱を見て気になったのは、『王様のブランチ』が「ブランチファミリー」と呼ぶ出演者たちで明るく盛り上がっている一方、『ゼロイチ』は出演者たちのかけ合いがなかなか見られないこと。スタジオのメンバーは、松丸亮吾さん、石川みなみアナ、辻岡義堂アナ、渡邊圭祐さんと若く、MCの指原莉乃さんをみんなでフォローし、盛り立てるようなシーンが少ないのです。

『ゼロイチ』はアインシュタイン、フワちゃん、チョコレートプラネット、ぺこぱ、ジャングルポケットら芸人を週替わりでゲスト出演させていますが、『王様のブランチ』にレギュラー出演する藤森慎吾さん、横澤夏子さん、ニッチェらのようなあうんの呼吸は感じられません。

『王様のブランチ』は昨年の渡部建さん降板騒動で生まれた「MCの佐藤栞里ちゃんをみんなで盛り立てよう」という温かいムードが今も健在で、指原さんが1人で責任を背負っているような『ゼロイチ』とは対照的です。

生放送番組の視聴者は、このようなスタジオのムードに敏感なだけに、改善できなければ視聴率・評判ともにジリジリと落としていく危険性もあるでしょう。また、大物芸人たちも認めるトーク力を持つ指原さんが「どのように番組を盛り上げ、『王様のブランチ』に対抗していくのか」も楽しみの1つです。

 とはいえ、まだはじまったばかりであり、『ゼロイチ』が掲げる「トレンドや次世代のスターを“ゼロイチで生み出す”」ことができれば、若年層の視聴者を集めて『王様のブランチ』を大きく上回ることも可能でしょう。そうなったら今度は『王様のブランチ』が何らかのテコ入れ策を行い、その結果を受けてまた『ゼロイチ』が……と熾烈な競争が続いていくのではないでしょうか。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。