ひとつのドラマに主要な役どころで出演するとなれば当然、俳優はその作品の撮影を中心としたスケジュールを組まなくてはならない。同じクールで複数の作品に出演する場合は、日程が多忙を極めることになるわけだが、それだけオファーが多いという「高評価の証」でもある。今クールでいえば、『コントが始まる』(日本テレビ系)、『半径5メートル』(NHK)の2作品に出演する芳根京子(24)がいる。

『コントが始まる』は、売れないお笑いトリオ「マクベス」とその周囲の人たちが織りなす物語で、芳根はトリオの一員である仲野大賀演じる潤平の彼女・奈津美役で出演。芸人を辞めて実家の酒屋を継ごうとするなかで様々な葛藤を抱える潤平に対し、大手製薬会社で働く多忙な身でありながら献身的な気遣いを見せる役柄を好演している。誕生日にサプライズでプレゼントを渡そうとしたものの失敗に終わって落ち込む潤平を“逆サプライズ”で驚かせ、元気づけようとしたシーン(5月22日放送の第6話)には、ネット上で「理想の彼女すぎる!」「ひたすらに尊かった……」といった称賛の声があがった。

 2016年放送開始の朝ドラ『べっぴんさん』でヒロインに抜擢され、完全に全国区の知名度になった芳根の魅力について、アイドル研究家の北川昌弘氏はこう語る。

「朝ドラの主演が決まる前から、オーディションに芳根京子が現われたら最後、誰も勝ち目がないということで“オーディション荒らし”と呼ばれたこともあるほどの実力派です。テレビに出始めた頃から、かなり注目を集めていた印象があります。やはりなんといっても、前向きでハツラツとしたキャラクターがピタっとハマるところが彼女の一番の魅力と言えるでしょう。生命力に満ちた明るい役を演じる時の威力はとんでもない」

 主演を務める『半径5メートル』では、まさに芳根の魅力が存分に発揮される役柄とも言える「必死に頑張る若手週刊誌編集者」である風未香役を熱演する。ミスを繰り返しながらも一人前の編集者を目指して前向きに奔走する芳根の姿に、視聴者は笑いも誘われつつ、思わず両手を握りしめて「頑張れ」と応援したくなる。

「週刊誌の記者や編集者の役は、過去に他の女優さんも演じていますが、今回の作品のように一生懸命だけどドジる時はしっかりドジり、それでも負けずに立ち上がる役はまさに芳根京子にぴったりですね。彼女の良さを制作側がしっかり理解していると感じます」(前出・北川氏)

 今後、芳根はどんな女優に進化していくのか。期待を込めて、前出・北川氏は話す。

「実力があり、重要な役を任されてもしっかり演じきる能力の高さは抜群です。新型コロナの流行で世の中の雰囲気が暗くなっているからこそ、いち視聴者としては、芳根京子にしか出せない明るいパワーをこれからも発揮し続けてほしいと願っています。ただ、彼女の魅力はきっとそれだけではないはず。高いポテンシャルを活かしていろんな役に挑戦し、自分のやりたい演技を思う存分やりきってほしいです」

 過去に同クールで様々な役柄に挑戦した俳優は複数いるが、たとえば『最高の離婚』(2013年1〜3月、フジテレビ系)、『まほろ駅前番外地』(同、テレビ東京系)、『極北ラプソディ』(同年3月19、20日放送、NHK)という同時期の3作品に主演した瑛太(現・永山瑛太)は、『最高の離婚』の濱崎光生役で複数の賞を獲得するなど、さらなる飛躍を遂げるきっかけとなった。ドラマ出演のオファーが次々と舞い込む芳根も、多くの作品でその魅力を発揮し、輝きを増すことができるか。