大石静さんが脚本を手掛ける、人気ドラマ『あのときキスしておけば』(テレビ朝日系、毎週金曜23時15分)がクライマックスを迎える。「もう大石作品には何度ハラハラ・ドキドキ・ヤキモキさせられたかわかりません!」と話すのはコラムニストで放送作家の山田美保子さん。そんな山田さんが、35年以上テレビドラマ界のトップを走り続けている大石さんに、制作の裏側をたっぷり聞いた。

実力派で美しい松坂・井浦・三浦の3人はまさにドリームチーム

山田美保子(以下、山田):今期、私がもっとも夢中になって観ているのが大石さん脚本の「金曜ナイトドラマ『あのときキスしておけば』」(テレビ朝日系・以下“あのキス”)なんです。翌週の展開がこんなにも気になるドラマは本当に久しぶり。特に6月4日放送のラストシーン(ネタバレあり)。オムライスのバースデーケーキをあんなに幸せそうに食べていたのに、まさか田中マサオ(井浦新サン・46)が戻ってきちゃうなんて!! これまで、お粥やイカのゲソ煮を床に落としてしまっていた桃地(のぞむ=松坂桃李サン・32)のように、晩酌のお供に食べていたクラッカーを噴き出してしまいました!

大石静(以下、大石):桃地はちょっと食べ物を落としすぎよね?(笑い) でも、山田さんに楽しみにしていただけて光栄です。視聴者のかたが「この先、どうなるんだろう」とドキドキしていただくために、今回は予測不能な展開に命を賭けました。

山田:井浦サンと大石さんのタッグは、私のベスト恋愛ドラマ『コントレール〜罪と恋〜』(2016年・NHK)以来、5年ぶりですよね?

大石:その前は『蜜の味〜A Taste Of Honey〜』(2011年・フジテレビ系)だから、連ドラ3回目のおつきあいです。今回、「井浦サンがいい」って真っ先に言ったのは若い女性プロデューサー(貴島彩理さん)なんです。あのポジションって普通に考えるとムロツヨシさん(45)とか阿部サダヲさん(51)を発想しますよね。でも「メインの男優は高身長のシュッとした人達を揃えたい」と言ったんです。なるほどと思いました。松坂サン、井浦サン、そして三浦翔平サン(33・高見沢春斗役)と、身長180cm超えのイイ男が揃っているのは夢があります。視聴者は、それを愛でる愉しみもあるわけですよ。

山田:まさしく! 三浦サンはフラダンスのシーンが秀逸でしたよね。『M愛すべき人がいて』(2020年・テレビ朝日系 )以来、本当に目が離せません。

大石:三浦サンも2回目のおつきあいなんですけど、芝居うまいです。松坂サンも井浦サンも三浦サンも、本当に実力派で美しく、まさにドリームチームですね(笑い)。

山田:そして、ヒロイン「蟹釜ジョー」役の麻生久美子サン(43)!

大石:普段もお美しいんですけど、映るとさらに10倍くらい美しくなって驚きました。台本や演出が何を求めているかもパッとわかるし、頭もよいかただと思います。才能もあり自信もあり、傲慢でわがままだけどかわいらしいヒロインを、本当に見事に演じてくれました。

山田:私はMEGUMIさん(39・田中帆奈美役)も大好きで、一昨年あたりから出演作品を追いかけてるんです。

大石:彼女もいい女優さんだと思って、いつかご一緒したいと願っていたので、今回やっと出ていただけてうれしかったです。

山田:今作の貴島彩理さんもですけれど、昔に比べるとドラマの現場に女性のプロデューサーさんが増えましたよね。この1年半は開催されていないんですけれど、テレ朝さんのプロデューサー×記者懇親会にうかがうと、内山聖子さんや三輪祐見子さんを中心に女性のドラマプロデューサーが、いい空気を作っていらして。

大石:私もこの数年、女性プロデューサーとしか組んでないです。テレビの現場はもう男だ女だという時代はとっくの昔に超えてます。チャンスは平等に与えられていると思います。でも、女性プロデューサーの方がシビアーで怖いです(笑い)。甘えを許しませんからね。男性プロデューサーなら、「もう疲れた……」とか甘えられますが、女性プロデューサーだと、それはあり得ません。男性プロデューサーが恋しいな〜。

山田:そういえば、『女性セブン』読者には特におなじみのドラマ『恋する母たち』(2020年・TBS系)も、チーフプロデューサーは磯山晶さんでしたものね。私は磯山さんが「小泉すみれ」時代(漫画家として活動時代のペンネーム)からの大ファンです。“恋母”は、女優さんに目がいきがちでしたが、私は玉置玲央サン(36・蒲原繁樹役)、磯村勇斗サン(28・赤坂剛役)、“まんじゅうこわい”の宮世琉弥サン(17・蒲原繁秋役)にハマりました。玉置サンは、『バイプレイヤーズ〜名脇役の森の100日間〜』(テレビ東京系)に。磯村サンと宮世クンは『珈琲いかがでしょう』(同)で共演していました。あ、私が想うイケメンと大石さんのお好みって離れていますか?

大石:突き詰めていくと異なるかしら(笑い)。でも私も山田さんも、切れ長な目がお好きですよね? 宮世クンは違うかな?

山田:そうです、そうです。ただ私はさらに、端っこズキ、5番手ズキという特徴があるんですが、大石さんはド真ん中ですものね。やはり長谷川博己サン(44)が浮かびます。発掘して育て上げた……。

大石:育て上げたワケじゃないです。彼に才能があったから、出るべくして出たんだと思います。私が見つけなくても誰かが見つけたでしょう。それに、一緒に仕事したのは『セカンドバージン』(2010年・NHK)のほかに2作品だけなんですよ。いまは一ファンとして見つめています。彼はやっぱり何十年に1人の才能ですね。美しいだけじゃなくて、本当に芝居がしっかりしていますから。日本を代表する役者の1人だと思います。

視聴者がイケメンだと気づかなかった役者をイケメンに変えるワザ

山田:大石さんが推す俳優さんには、舞台出身のかたが多いという印象もありますけれど。

大石:たまたま、私がいいなと思った何人かが全員、舞台の出だったんですけど、やっぱり舞台の人は、きちんと声が出るし、セリフが息モレしないですからね。

山田:なるほど。それから、大石さんにお目にかかったら絶対にうかがおうと思っていたのが、これまで視聴者がイケメンだと気づかなかった役者さんをイケメンにしちゃうワザ!

大石:確かに私は、『大恋愛〜僕を忘れる君と』(2018年・TBS系)でムロツヨシさんを、『知らなくていいコト』(2020年・日本テレビ系)で柄本佑サン(34)を二枚目にしましたけど(笑い)。いま思えばなかなかの賭けでしたね。『大恋愛』のときはムロさんのスケジュールが空いているとプロデューサーから聞いたとき、「イケる!」って思ったんです。ご本人も相当不安だったようですけれど。蓋を開けてみたら本当に魅力的で、大成功でした。

山田:本当に。そして柄本佑サンは「こんなにイケメンだったっけ?」とネットが騒然としました。『天国と地獄〜サイコな2人〜』(TBS系 )でも、やっぱりステキで……。あと大石さんは、『コントレール』で「ネプチューン」の原田泰造サン(51)も二枚目になさいましたよね。私はバラエティー専門放送作家ゆえ、芸人さんがドラマで活躍してくれるのはうれしくって。カンニング竹山サン(50)のお芝居なども大好きなんです。

大石:芸人さんは、役者さんのように長い連続ドラマで役を構築していくのではなく、漫才でもコントでも短い時間で勝負をかけるので集中力が凄まじいんですね。だから、お芝居をやっていただくと、すごくいいんだけど、スケジュールがないのですよ、お笑い系のかたは。私、「ハライチ」の澤部佑サン(35)や、「ロバート」の秋山竜次サン(42)に、私のドラマに出ていただきたくて何度かオファーもしてるんですが、忙しくてつかまらないんです。

30年前も、25才で結婚することを目標にしていた女性は少なかった

山田:さすが、お目が高いです! 最後に、『ヴァンサンカン・結婚』(1991年・フジテレビ系。安田成美演じる25才のOLが、プロポーズを受けた青年医師(石黒賢)と、元恋人だった18才年上の上司(小林稔侍)との間で揺れ動くラブストーリー)から30年が経ち、女性が主役の恋愛ドラマは、どのような変化を遂げてきたでしょうか。

大石:社会風俗は変わってきたけれど、人を恋する気持ちは基本、変わってないんじゃないですかね。だって30年前も、25才で結婚することを目標にしてた女性なんか少なかったと思いますよ。あのタイトルは、当時、私よりずっと年上の男性プロデューサーが考えたものです(笑い)。風俗は変わっていきますが、ドラマはその風俗を追いかけていくのではなく、普遍的な人の心を描くのが使命だと思ってやっています。

「その年で、よくいまの若者のことが書けますね?」「どういうふうに時代を切り取ってるんですか?」とよく聞かれますが、私はいまの時代を生きているわけだし、若い人より時代の変化を見て来ているという意味で、変化にも実は敏感です。それに何度も言いますが、ドラマの使命は、その風俗を追いかけることではなく、普遍な心を描くことだと思うので、年齢的コンプレックスを感じたことはないです。

山田:でもやっぱり、いま、“あのキス”をお書きになれる大石さんはステキだし、ずっと大好きです。あ〜、桃地はどうなっちゃうんだろう。金曜日は眠れそうにありません!

【プロフィール】
大石静(おおいし・しずか)/1951年生まれ。1986年に脚本家として本格的にデビュー。以降、『ふたりっ子』『セカンドバージン』(いずれもNHK )、『家売るオンナ』(日本テレビ系)、『大恋愛〜僕を忘れる君と』(TBS系)など数多くの脚本を執筆。

◇金曜ナイトドラマ
『あのときキスしておけば』
金曜23時15分より・テレビ朝日系で放送中、6月18日は最終回

 夢もなく生きてきたスーパーの従業員・桃地のぞむ(松坂桃李)が、超人気美人漫画家・唯月巴(麻生久美子)と出会い恋に落ちるも、巴がおじさん・田中マサオ(井浦新)へと姿を変えてしまう。巴の元夫・高見沢春斗(三浦翔平)との奇妙な三角関係を経て、桃地と巴の恋の結末はいかに!? 最終回だけでも必見&感動間違いなし!!

構成/山田美保子
『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などを手がける放送作家。コメンテーターとして『ドデスカ!』(メ〜テレ)、『アップ!』(同)、『バイキングMORE』(フジテレビ系)、『サンデージャポン』(TBS系)に出演中。CM各賞の審査員も務める。

※女性セブン2021年7月1・8日号