1971年4月3日に放送が始まり、今年で生誕50周年を迎えた『仮面ライダー』。昭和、平成を駆け抜け、令和に入った現在もテレビシリーズ32作目となる『仮面ライダーセイバー』(毎週日曜9時〜・テレビ朝日系)が放送中。今年は映画『スーパーヒーロー戦記』でも歴代のヒーローたちが登場する。なぜ、こんなに長く愛され続けているのか。

「息子に見せようと『仮面ライダーウィザード』を見始めました。主人公は幼い頃に両親を亡くし、プロのサッカー選手を目指していたのに、友人にけがを負わせて夢を諦め、ひょんなことから仮面ライダーになった。挫折や苦悩を抱えながらも頑張って乗り越えようとする姿を応援せずにはいられなくなりました」(45才・塾講師)

「『仮面ライダードライブ』の竹内涼真さん(28才)にハマりました。最初は垢抜けない感じだったのに、回を追うごとにどんどんかっこよくなる彼を、自分が育てているような気持ちで見ていました」(44才・飲食店)

 子供と一緒に見ているうちに、主人公の背景を知り、物語にハマっていく──。高校生の子供の親で、仮面ライダーに詳しいライターの櫻宮ヨウさんは、その魅力をこう分析する。

「仮面ライダーは、綿密なストーリー展開に加え、人間模様が濃密に描かれており、勧善懲悪では片付けられないところが魅力のひとつ。無敵ではなく、心の闇や自分の弱さに苦悩する主人公を若手俳優が演じることで心を掴まれ、目が離せなくなるんです」

平成になり、愛される仮面ライダーに進化

 佐藤健(32才)や菅田将暉(28才)、福士蒼汰(28才)、吉沢亮(27才)など、いまをときめく錚々たる顔ぶれが、仮面ライダーを務めたことをきっかけにブレークを果たしている。

「それは、平成に入ってからのこと。昭和の時代は仮面ライダー=子供向けのヒーローというイメージが強すぎて、ほかのドラマで活躍するのが難しい面もありました」

 そう語るのは、2001年『仮面ライダーアギト』から仮面ライダーシリーズの監督を務めている田﨑竜太さん。

 そのイメージが、2000年に入ってガラリと変わったのだという。

「当時は少子化の影響で、子供向けの番組では、なかなか視聴率が取れませんでした。もっと視聴者層を広げないと生き残れない。そのため、ただ悪と戦うだけではなく、大人にも共感していただけるような人間味のある内容に変えました。その最初が『仮面ライダークウガ』(2000年)です」(田﨑さん・以下同)

『クウガ』は「平成仮面ライダー」第1弾として制作されたかなり実験的な作品。それまでの仮面ライダーを演じる俳優は、彫りが深く、エチゾチックな顔立ちでがっちり体形が中心だったが、『クウガ』では、スタイリッシュでシャープな風貌のオダギリジョー(当時23才)を起用。職業は冒険家で、変身すると警察と協力して事件を解決するなど、サスペンス要素も加え、本格的な刑事ドラマのような作りにした。

「主人公や彼を取り巻く人たちがさまざまな葛藤を抱き、苦悩しながらも変化していく、そんな人間臭さを丁寧に描写するために脚本づくりにもかなり時間をかけていました」

 子供にはやや難解ではあったものの、大人から高評価を得て、20〜30代のファンが急増。日曜朝8時スタートの番組でありながら、9%台の平均視聴率をマークした。

 そして、オダギリがこの作品をきっかけにブレークしたことから、仮面ライダーの快進撃が始まる。

 2001年、仮面ライダー生誕30年には、平成作品第2弾の『仮面ライダーアギト』がスタートし、さらにヒーロー像が一新。平均視聴率11.7%の高視聴率を獲得する。

「主人公の津上翔一は、記憶喪失という悲しい境遇を持ちながら、いつも前向きで明るく家庭菜園をこよなく愛する天然キャラでした。演じた賀集利樹さん(42才)のソフトな甘いマスクと親しみやすさも手伝って子供たちにも、親世代にも人気がありました」

 また、この作品から複数ライダー制を起用。賀集演じるアギトに加え、“G3”に変身する氷川誠を要潤(40才)が、“ギルス”に変身する葦原涼を友井雄亮(41才)が演じた。

 東映プロデューサーで2001年『仮面ライダーアギト』から制作に関わっている武部直美さんは振り返る。

「3人ともオーディション経験もほとんどなく、もちろん演技も未経験でした。ただ、賀集さんが持つ、子犬のような愛らしさと、要さんのクールな雰囲気など、それぞれが役柄にぴったりでした。

 オーディション時は、3人とも素直な“とってもいい子”という印象でした。これが、女性ファンの心を掴んだのかもしれません」(武部さん)

 それぞれが持つ個性が光り、『アギト』の人気はうなぎのぼり。この作品から、仮面ライダーを演じる俳優たちの、握手会などのイベントも精力的に行われるようになっていく。

取材・文/廉屋友美乃 取材協力/前川亜紀

※女性セブン2021年7月29日・8月5日号