俳優・伊藤淳史(37)が3児の父となって初めて主演を務めたドラマ『白い濁流』(NHK BSプレミアム)が8月22日からスタートする。ドラマ撮影期間中に第3子となる次男が誕生した彼が、撮影現場でのエピソードや作品の見どころなどについて語った。

 薬学を志す研究者らの暗闘を描いた社会派エンタテインメント『白い濁流』で、主人公・好並一樹を演じている伊藤淳史。主人公の幼馴染で新聞記者・河原智子を女優の佐々木希(33)が、研究者仲間の柏木航を俳優の桐山漣(36)が演じており、ドラマではこの3人の主要登場人物の人間関係がサスペンス風のタッチで描かれていく。

 ドラマの撮影は4月中旬からスタート。その途中、6月16日に第3子が誕生した伊藤淳史は、3児の父となったことによる変化をこのように振り返る。

「3人目の子供でしたが、やはり出産に立ち会うと喜びや感動は大きくて、生まれてからはまた新たな気持ちで撮影に臨むようになりました。ただ、家で過ごす時間を心待ちにしている一方で、『白い濁流』は重いテーマの作品でもあったので、そのギャップも感じましたね。

 2015年に1人目が生まれた時もちょうど連ドラ(『無痛〜診える眼〜』フジテレビ系)を撮影している途中だったんです。当時共演していた方には後から『あの日は芝居どころじゃなかったでしょ?』『いつもと違ったよね』と言われて、ソワソワしていたのがバレていたようでした(笑)。

 今回は3人目というのもありますけど、作品のテーマ的にも、撮影現場で考えていられる余裕はありませんでしたね。そのぐらい追い込まれていましたし、それだけ充実感のある作品なんです」

 初共演となった桐山と伊藤は、撮影現場を通じて親交を深め、よく連絡を取り合うほど仲が良くなったという。そんな良好な人間関係が築かれていた撮影現場では、こんな“サプライズ”もあったようだ。

「生まれた2日後に事務所を通じて発表したんですが、その後に現場に行ったら、共演者からもスタッフからもそのことには特に触れられなかったんです。何事もなかったように進んでいて、これは逆に自分から報告した方がいいのかなと思っていたら、現場が始まる直前に『伊藤君に3人目の子供が誕生しました!』って盛大に祝っていただけて(笑)。ちょっとしたサプライズみたいな感じで、めちゃくちゃ嬉しかったです」

 コロナ禍での撮影だからこそ、貴重な機会となったようだ。伊藤淳史が続ける。

「ずっと一緒に時間を共にしてきた仲間だったので、みなさんからお花をいただいたりお祝いのお品物をいただいたりした時は本当に嬉しかったです。

 今の時期、みんなで盛り上がることは非常に少ないですよね。コロナ禍の前だったら、現場が終わった後に一緒にご飯を食べに行ったり、休日にみんなで飲みに行ったりすることも普通にありましたけど、今は当然ながら全くないですから。そういう中で祝福していただけたのは、僕個人としてもとてもありがたいことですし、みんなで盛り上がる機会ができたという意味でも嬉しかったです」

 さらに、伊藤淳史、佐々木希、桐山漣の3人の良好な関係は、ドラマにおける“ある重要なシーン”にも滲み出ているという。

「第1話に、京都の鴨川で3人が仲良く会話するシーンがあるんですよ。あそこは初めて“本読み”をした時に監督から『3人が楽しく会話するシーンはほとんどないので、ここはとにかく良いシーンにしたい』と言われたんです。その時は僕はまだ第1話の台本しかもらっていませんでしたが、後になって振り返ってみると、そこが全ての原点で、とても象徴的なシーンだったというのが徐々にわかってくるんですね。

 もはや3人が分かり合えることは一生ないんだという、人間関係におけるある種の絶望に直面したり、一樹という人間が最低なところに行ってしまったりした時に、そのシーンがたびたび出てきます。この前完成したばかりの第1話を観たんですが、監督が最初に言っていた意味がものすごく良くわかりました。物語が進むにつれて効いてくる大事なシーンだなと。

 ただ、実はそのシーンを撮影したのはつい最近なんです。4月中旬にクランクインしてから現場で3か月間みんなと一緒に過ごしてきて、3人ともすごく仲良くなったんですね。そういう関係性もプラスの方向で表現できたというか、もしも4月の段階で撮影していたらちょっとぎこちなくなっていたというか、少なくとも完成したシーンほど良い空気感は絶対に出せていなかったなという気がします」

 第3子が誕生し、新たな生活がスタートした伊藤淳史にとって、『白い濁流』もまた人生の転機となる一つのドラマとなりそうだ。

◆取材・文/細田成嗣(HEW)