バブル景気のきらびやかな時代が終わり、先行き不透明な時代に突入した1990年代。“かっこいい男”の条件も変わった。その時代を象徴する“イケメン”たちを紹介する。

バブル崩壊後、不景気とともに男性に癒しを求めるように

 1989年1月、元号が「平成」に移ると、好景気にも陰りが見え始め、1991年には急激な円高により、一転、不景気となる。

「バブル経済が完全に崩壊したことを人々が認識したのは1993年頃から。企業が相次いで経営破綻により潰れ、のちに会社存続のために従業員を解雇するリストラも社会問題となりました」(世代・トレンド評論家の牛窪恵さん・以下同)

 長らく日本の働き方として定着してきた終身雇用は、バブル崩壊とともに崩れ始める。

「山一證券(1997年に自主廃業)ほどの大企業でも存続できない時代に。大手企業にいても、将来安泰ではなく、職をいつ失うかわからなくなりました」

 不況により、暗い空気に包まれた中、恋愛の価値観も大きく変わっていく。

「バブルの頃は、高級車に乗って、高級レストランでワインを飲んで愛を語るのがかっこいいとされましたが、バブルが弾けた後は、経費節減で接待交際費は使えず、給料やボーナスもカットされるなど、デートや外食にお金がかけられなくなりました」

 その代わりに、若者の間で定番となったのが“おうちデート”だ。

「男性は女性をレストランに連れていくのではなく、家で一緒にご飯を食べてまったりするようになります。おうちご飯は、1996年にスタートした『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)の影響も大きかったですね。SMAPのメンバーが料理対決をするコーナーが人気となり、“料理男子”の概念が誕生。男性自ら作った料理を女性に振る舞うことがステータスになりました」

 また、この頃からSMAPの木村拓哉(48才)が国民的スターへと上りつめていく。

「木村さんは1993年のドラマ『あすなろ白書』(フジテレビ系)で、ヒロインを後ろから優しく抱きしめる“あすなろ抱き”が話題となり、女性からの支持はうなぎのぼりに。人気を決定づけたのは、1996年の『ロングバケーション』(フジテレビ系)です。

 山口智子さん(56才)演じる葉山南と木村さん演じる瀬名秀俊とのラブストーリーではありましたが、男性が女性を引っ張るというよりも、男女の関係が対等に近い“友達カップル”の要素が強かった。“瀬名”は女性がキツイことを言っても、『なんだよ』と言いながら受け流してくれる男性で、これが時代にマッチしていました。

 1990年代半ばは女性の社会進出が進み、専業主婦と働く妻の割合が逆転した頃。女性たちは“南”のようにさっぱりしたキャリア女性に憧れ、小言も黙って聞き流すような男性に癒しを求めるようになっていたのです」

 木村は『an・an』の「好きな男ランキング」で1位を獲得(その後15年間トップの座に君臨する)。「当時、木村と人気を分かち合っていたのが、トレンディー御三家と呼ばれる織田裕二さん(53才)、吉田栄作さん(52才)、加勢大周さん(51才)です」と、イケメン評論家の沖直実さんは言う。

「彼らはTシャツにジーンズというシンプルなファッションで、素の自分で勝負していました。

 同じ頃、『ひとつ屋根の下』(1993年、フジテレビ系)に出演していた江口洋介さん(53才)も、Tシャツに長髪という、等身大の若者のスタイルで、男女ともに人気でした。

 1997年の『ビーチボーイズ』(フジテレビ系)で、イケメンかつ素敵なお兄さんとして鍛え上げられていた肉体も披露していた反町隆史さん(47才)や、竹野内豊さん(50才)は、自然体のスターの筆頭。背伸びをせず、自分を大きく見せることなく、等身大で確固たる芯を持っている男性に世の女性たちは憧れと安心感を抱くようになりました」(沖さん)

取材・文/廉屋友美乃

※女性セブン2021年9月9日号