現在放送中のドラマ『プロミス・シンデレラ』(TBS系)にて、主演の二階堂ふみを翻弄するドSの御曹司役が話題を呼んでいる眞栄田郷敦(21才)。俳優デビューからわずか2年で連続ドラマの大役を務め、大ヒット上映中の映画『東京リベンジャーズ』では、メインキャストの一人として実力派若手俳優陣の中に名を連ね、いま最も勢いのある俳優の一人として注目を集めている。ここでは、兄の新田真剣佑には無い眞栄田の魅力について、映画や演劇に詳しいライターの折田侑駿さんが解説する。

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 眞栄田の兄といえば、新田真剣佑(24才)である。兄の新田もまた、若手を牽引するトップ俳優の1人だが、SNSなどで2人の名を検索してみると、意外にも彼らが兄弟であることを知らない人も多いようだ。確かに現時点の眞栄田は、新田とは異なるタイプの俳優のように思う。両者とも、異なる“ストロングポイント”がそれぞれにあるのだ。

 2人の父親は、言わずとしれた日本が誇る世界的な映画スター、千葉真一さん(享年82)。『仁義なき戦い 広島死闘篇』や『魔界転生』、『キル・ビル』など数多くの代表作を持ち、特にアクションにおいては後進の育成にも尽力してきた偉大な存在である。そんな彼の遺伝子を、新田も眞栄田も色濃く受け継いでいるように思う。直近の出演作で言えば、新田は映画『るろうに剣心 最終章 The Final』にて、眞栄田は『東京リベンジャーズ』にて、その片鱗を大いに見せている。

 そんな兄弟のキャリアを簡単に振り返ってみたい。両者ともアメリカで生まれ育ち、兄の新田は幼くしてアメリカでの俳優活動をスタートさせた後、日本でも芸能活動を開始。2018年に公開された『ちはやふる』シリーズは、新田が演じた役の名を現在の彼の芸名とするほど自他ともに認める代表作となり、今年公開された『ブレイブ -群青戦記-』では映画単独初主演を務めるなど、これまでに多くの話題作・人気作に出演してきた。まだ20代半ばの若手俳優でありながら、実力派として広く認知されている。

 一方の眞栄田も、デビューから2年とまだ“新人俳優”でありながら、破竹の勢いで成長を遂げている。『プロミス・シンデレラ』を見ていると、彼の瑞々しい演技には、時折危うさを感じないわけでもないが、この“瑞々しさ”や“危うさ”こそが男子高生と年上女性の恋愛劇が展開する本作において、視聴者にスリルやドキドキ感を与えていると思う。演技の技術はこれから身に付くのだろうが、いまの彼にしかないある種の不器用さが役と絶妙にマッチしているのだ。また、マンガ作品が原作とあって、本作で彼が演じている役どころは少しばかり現実離れしたアイドル的な要素を感じるが、その点も彼が演じると不思議と成立させてしまう魅力もある。

 兄の新田も2017年公開の『ピーチガール』などの少女マンガの実写化作品などに顔を見せ、アイドル的な役柄も通過してきた。新田と比べればいまの眞栄田とは大きなキャリアの差があるように思えるが、そもそもアメリカで活動をスタートさせた新田とは基礎力も経験値も違うはずだろう。現在の眞栄田は、さまざまなタイプの作品・役柄に挑み、場数を踏んでいる段階と言えるのかもしれない。作品を重ねることで、さらに得意な役どころも生まれてくるのではないだろうか。

 とはいえ、新田にはない眞栄田の強みもある。先述したドラマでの活躍もあり、いまの眞栄田はお茶の間での浸透力は高い。これは、ドラマ以上に映画を主戦場にしてきた新田には無い点だ。眞栄田は、『プロミス・シンデレラ』の前には『レンアイ漫画家』(フジテレビ系)にもレギュラー出演しており、2クール連続での連ドラ出演となっている。年始に放送された『教場II』(フジテレビ系)でも、警察学校を舞台に、これまた次世代を担う多くの若手俳優が顔を揃える中、猟奇的な役どころに扮して強烈なインパクトを残した。キャリアを重ねるごとに物語を引っ張る役どころを担い、早くもお茶の間の顔として人気を得つつあるのだ。“分かりやすさ”が求められるテレビドラマだからこそ得られる表現力も、映画での表現と同じくらい重要なのではないのだろうか。兄の新田とはまた異なる輝き方をしていると思う。

【折田侑駿】
文筆家。1990年生まれ。映画や演劇、俳優、文学、服飾、酒場など幅広くカバーし、映画の劇場パンフレットに多数寄稿のほか、映画トーク番組「活弁シネマ倶楽部」ではMCを務めている。