広島を舞台に、億単位の投資トラブルが起きている。出資者の多くは60代以上の高齢者で、老後資金をつぎ込んでいたため、彼らは大きな不安に駆られている。その“被害者”の中には、綾瀬はるか(36才)の母も含まれていた。

 綾瀬の個人事務所の代表取締役を務める母は、綾瀬家が代々世話になっている地元・広島の税理士のA氏にお金に関する相談をしていた。そして、そのA氏に運用をもちかけられ、1億円近くを投資。実際に運用をするのはB氏を中心とする30代の3人組の投資グループで、A氏のような仲介者が複数おり、多くの出資者がいた。投資額や金利は出資者によって異なり、綾瀬の母は月3%の利回りがつく契約だったという。しかし、今年5月、それまで毎月支払われていた配当がパタリと止まった。

 この騒動について、A氏を直撃すると、こう説明した。

「そもそもこれは投資ではなく『金銭消費貸借契約』という貸付で、最初に預けていただいた資金の元本を返済して、その後に2〜4%の『利息』をお渡しする仕組みです。長期間預けることで、やっとプラスが出るんです。だから、投資ではない。私はBさんを信頼し、自信をもって綾瀬さんのお母さんを含む15人ほどに仲介しました。その際、幾分かの手数料をいただいています」

 つまり綾瀬の母が受け取った配当はB氏らに「貸付」をしたお金の元本で、その返済を終えてから月3%の利息を配当するとの言い分だ。しかし、「返済」にしろ「利息」にしろ、月々支払われるべきものが止まっているのは事実。出資者から「詐欺」を疑う声があがっている。

 渦中の綾瀬の母は何を思うのか。話を聞いた。

──投資トラブルにあったそうですが。

「信頼する先生からすすめられて、深く考えずにお金を預けてしまったんです。やはりうまい話は怖いです……。

 私は食べていけるだけでよくて贅沢することもなく、お金を増やそうとは思いませんでした。たしかに『おいしいものでも食べて』とAさんに誘われて食事会に参加しました。農作業があっても、息子が『行ってきんさい』と送り出してくれて。でも急にバーッと参加者が増えて、怖くなったんです。途中から、なんかおかしいなって思うようになった。だから私は、もらったお金(配当)をとりあえず全部返しました」

──投資したお金は返ってきましたか。

「はい。でも全額ではありません……。ただお金のことよりも、娘に迷惑をかけてしまったことがつらい。娘は『大丈夫、大丈夫』と言って、私を全然責めないんです。それどころか、私が友達が少ないということを知っているので『お父さんもおらんし、お母さんもたまにご飯行けてよかったね』と言ってくれた。

 お金についても『返らんかったら、返らんでええよ』って。親が言うのもおかしいけど、すごく優しい子で、いつも元気に心配をさせないよう気を使ってくれています」

 そう言うと母は涙を浮かべて、こう言葉を絞り出した。

「娘に迷惑をかけてしまった……でも本人は『大丈夫』と言ってくれて。本人が(コロナ感染で)大変なときにこんな心配をかけちゃって……もう、ろくでもない親ですよね」

 綾瀬にとっても1億円はわずかな額ではないはずだ。しかし彼女は何度も「お母さん、お金はいいから」と母に声をかけていた。高齢者を狙った甘い投資話には注意が必要だが、当事者は気づきにくいもの。今回のケースのように、母と子の思いやりの交換こそが、そうした窮地を救うのかもしれない。

※女性セブン2021年9月30日・10月7日号