テレビの「視聴率」の意味は時代とともに変わっている。かつてのテレビ局にとって視聴率はスポンサーを説得するための絶対の営業ツールであり、テレビマンが胸を張って誇るための「物差し」だった。

 だが、時代とともにリアルタイム視聴率は低下の一途を辿り、10%を超えれば大ヒットで、一桁も当たり前。冬の時代を迎えたテレビ界はいま、現状打開のために「新指標」として、録画再生の視聴割合を指す「タイムシフト視聴率」を導入。従来の視聴率だけでなく、1週間の「タイムシフト視聴率」を合算した数字をもとに、スポンサーと広告代理店、テレビ局が取引することになった。

 各局では新指標を元にした変革が起こっている。たとえば各局は新たなドラマ枠を新設し、“ドラマ重視”の姿勢を鮮明にする。各局の編成担当は、たとえコストパフォーマンスが悪くとも、ドラマ、映画、アニメといった「録画でじっくり見たい番組」を増やそうとしているのだ。

 一方で、新指標を意識した番組作りが現場の混乱を生んでいる例もある。あるクイズ番組スタッフが嘆く。

「『録画でもCMを飛ばされない構成にしろ』と上から言われるのですが、どうしたらいいのかがまったく分からない。『答えはCMの後で』とやるのが従来の手法でしたが、答えを待つ視聴者が、早送りできるCMを見続けるわけがない」

 元NHKの番組ディレクターで次世代メディア研究所の鈴木祐司氏が語る。

「視聴率を分析すると、こうした番組は逆にCM中にチャンネルを変えられやすい傾向があります。あからさまなCM誘導は、視聴者を逆にイライラさせてしまうんですね。こうなると、『答えはCM明け、という手法もやめろ』と言われかねない」

※週刊ポスト2018年11月9日号