放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は連続テレビ小説『まんぷく』(NHK)にも出演する俳優・要潤について。

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 2月21日で38才の誕生日を迎える、アラフォーのイケメン俳優、要潤。
 
 現在オンエア中の『まんぷく』では、ヒロイン・安藤サクラ演じる福子の姉・克子(松下奈緒)の夫・忠彦を好演している。

 忠彦の職業は画家。定収入がなく、一日中、自宅内のアトリエにこもりきりの忠彦に、当初、義母・鈴(松坂慶子)は嫌悪感を抱いていた。
 
 だが、そのターゲットが福子の夫・萬平(長谷川博己)に向けられるようになり、さらには、戦場で目を負傷し、緑色と赤色が判別できなくなってから描いた絵に高値がつくなどしてから、義母との関係は好転していく。

◇『まんぷく』では“いいスパイス”として存在感

 だが、絵画モデルとして登場した「ゲスの極み乙女。」の「ほな・いこか」こと、さとうほなみや、忠彦の作風を大きく変えるきっかけを作った秀子(壇蜜)に対し、心配したり嫉妬したりする克子(松下)と共に、鈴もまたうろたえることに。
 
 こうした忠彦を中心に繰り広げられるシーンは、即席ラーメン作りがなかなかうまくいかず、単調に見えていた萬平と福子のシーンに挟まりスパイスとなっていたものだ。
 
 加えて福子や克子の長姉役で若くして他界した咲(内田有紀)の元夫・真一(大谷亮平)と萬平(長谷川)、そして忠彦(要)という、今井家3姉妹の夫3人のグループショットは、朝からありがたい気分になったものである。

『まんぷく』の忠彦役に要潤が起用されたのは、妻役の松下奈緒の高すぎる身長が無関係ではないと思われる。   モデル出身の高身長女優は少なくないが、なかでも頭一つ大きい松下。朝ドラ『ゲゲゲの女房』での夫役に向井理が選ばれたのも、今となっては“身長”が理由ではなかったか。
 
 果たして「忠彦さん」(要)は、例の絵画モデルらの存在に妻や娘をザワつかせるだけでなく、義母・鈴(松坂)にビシッと意見をすることもあれば、娘たちの恋愛や結婚話に大きく動揺したり、その娘たちから褒められてデレデレしたりする、なんともチャーミングなキャラクターを確立していく。

“発明家”である萬平にとっても、収入が安定せずも好きな仕事を続けている義兄の存在はより所に違いない。
 
 要潤は、2001年、『仮面ライダーアギト』(テレビ朝日系)に賀集利樹や、あの友井雄亮と共にメインキャストを務め、翌年、昼ドラ『新・愛の嵐』(東海テレビ・フジテレビ系)でヒロイン・藤谷美紀の相手役を演じ、人気を不動のものに。以来、イケメン俳優として数々のドラマや映画に出演してきた。
 
 そんな要も冒頭に記したとおり、間もなく38才。6年前には一般女性と結婚し、一児のパパにもなっている。

 実生活でパパだとはいえ、イケメンで売り出した俳優が、父親役にうまくスライドできるわけではない。「アラフォーになっても、母親役がやれる人と、そうではない人がいる。私は後者」と、アイドル出身で童顔の女優から悩みを打ち明けられたことが私にはある。結果、時代劇や2時間ドラマへの出演にシフトしたものの、これらは、いまではなかなか新作が誕生しないジャンル。仕事は激減したままだ。

◇イケメン俳優を“卒業”するための鍵とは?

 同じく、イケメンと呼ばれた俳優たちも、ルックスだけでは勝負できなくなる年齢に差し掛かかったとき、どうイメチェンできるかが、その後の活躍の大きな鍵になる。

 イケメン俳優の場合、その“鍵”となるのは「三枚目もやれる」ということだろう。

 あの竹野内豊が、天海祐希主演の『BOSS』(フジテレビ系)で、少々コミカルな役を演じたときには、衝撃と共に、彼の明るい未来が開けたように感じたものだ。『素敵な選TAXI』(同)や昨年大ヒットした『義母と娘のブルース』(TBS系)など、四十路になってから新たな代表作ができたのは元祖イケメン俳優ともいえる竹野内にとっては大きかっただろう。『ダイワハウス』のCMでの本心をごまかす夫役もまた微笑ましい。

 そして竹野内同様“時代のイケメン”として人気を博した唐沢寿明は、アラサーになった頃、出演するCMの大半が、コミカルに踊るものばかりだったときがある。さらに、竹野内よりは出演が多かったトークバラエティーで「おもしろい人」「笑いがわかる人」と評価されたことも活躍の場を広げることとなった。

 最近では、彼らの大先輩・草刈正雄が、『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)イモトアヤコと度々共演したことで再ブレイク。『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』第5シリーズ(テレビ朝日系)出演によって、幅広い世代の視聴者層にアピールした。

◇「笑いのわかるイケメン俳優」のイメージ

 そして要潤。実は彼がイケメンだけじゃない側面をアピールしたのは意外に早く、その最たるものは、8年前、香川県観光協会のCM「うどん県に改名しました」に出演したことだろう。同時に“副知事”に就任。すました顔で、うどん県をアピールし続ける要には「笑いのわかるイケメン俳優」というイメージが定着した。

 実は幼少期から『吉本新喜劇』(毎日放送)を欠かさず見ていたという“お笑い好き”。

 2006年、嵐の二宮和也と共演した『流星の絆』(TBS系)撮影時は、まだ“イケメン枠”だったハズなのに、二宮から「ボケたがり」と言われていたと聞く。

 つまり、素地はあったというワケだが、例“うどん県副知事”に就任したあたりから、三枚目を自然に出せるチャンスも増え、それが役柄にも活かされてきたというワケだ。

 15日から公開されるKis-My-Ft2北山宏光主演の映画『トラさん〜僕が猫になったワケ〜』で売れっ子漫画家役を演じている要は随所で漫画家とは思えないシーンに体当たりしている。

 要の面白さを以前から知っていた筧昌也監督からの御指名だったようで、完成披露試写会などでは、北山や妻役の多部未華子、娘役の平澤宏々路だけでなく、同監督は“要ネタ”を度々ぶっこんでいた。

 近年の“朝ドラ”は、終了後、ヒロインのみならず、個性あふれる脇役たちにオファーが殺到する傾向がある。

『まんぷく』の「忠彦さん」で、チャーミングで優しくて自由な中年男性を演じた要潤は、見事に“イケメン俳優”から脱皮できた模様。今後の活躍が楽しみでならない。