宝塚歌劇団月組のトップスターとして活躍し、その後、女優として多くの作品に出演している大地真央(64歳)。女優として異色の存在感を放つ彼女の魅力についてコラムニストのペリー荻野さんが解説する。

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 大地真央は日本一幸せな女優かもしれない。このところ、「アイフル」CMの女将さんとして、フランス女優、車掌、コスプレアイドルなど面白すぎる姿で出てきていたが、ドラマでも異色の役に。NHK夜ドラ『伝説のおかあさん』では、RPGの世界で、かつて伝説の魔法使いメイ(前田敦子)によって封印され、このたび蘇った魔王役だ。

 魔王はショートボブの頭頂に渦巻きが乗っかったような独自のヘアスタイル、ゴージャスないでたちで、ロングつけまつ毛をブワンブワンさせながら、「愚かな人間どもめ」と魔王感を見せつける。しかし、おとぼけな一面もあるようで部下から少子化で人間の数が減っていると聞くと、「ショーシカ? 魔獣の類か」と解釈したりする。

 前田のファンシーな子連れ魔法使いをはじめ、このドラマに出てくる人物は、全員コスプレ感いっぱいなのだが、この魔王は一番浮世離れしているはずなのに、すごくしっくりきているのである。この芸名になったその日から、いつか「魔王役がくるかも?」と思っていたかもしれないが、それが実現してしまうって。大地魔王(あえてこう書かせてもらいます)の幸せ度の高さの表れといえるだろう。

 女優大地真央のキャリア、特にテレビドラマについてのキャリアは、なかなかマネができないものが多い。

 多くの人は『勇者ヨシヒコと導かれし七人』のレオパルド(ひとみ)役を思い出していることと思う。カールした黒髪、黒いハットに白手袋、赤い裏地の黒マントで闘牛士のような華麗な動きをみせるレオパルドは、ヨシヒコ(山田孝之)らに「お前たちこそが世界を滅ぼさんとする悪者!」と言い放つ。これまたコスプレ感あふれる役柄だったが、当然のごとく違和感なし。

 私が個人的に特に好きなのは、バブル時代真っ只中の1989年から主演した『女ねずみ小僧』シリーズだ。
 なんとここでは、『女ねずみ小僧』チームのリーダーとして登場。そもそも「小僧」が女というだけでもなかなかなのに、それが集団で出てくるのである。そのスペシャル版第一弾『女ねずみ小僧スペシャル1いけないことだぞ!大江戸マラソン博奕地獄』では、女ねずみ小僧たちが、箱の中で早替わりしたり、幻灯機を使って刑事ドラマの捜査会議みたいなことをしたりする。悪徳商人宅の地下には南蛮博奕(ルーレット)などがある違法カジノだし、マラソンメンバーに瀬古選手がいる?と思ったら、当時、そっくりさんとして知られた三遊亭楽太郎(現・圓楽)だよ。

 いったい誰がこんな物語を書いたのかと思ったら、三谷幸喜先生でした。ちなみに第三弾のタイトルは『狙われたからくり城 史上最悪のダイハード』で、お察しの通り、城をテロリストに占拠されるというストーリー。ブルース・ウィリスもびっくりである。

 このほか、『武蔵坊弁慶』では伝説の女武者として知られる巴御前、大河ドラマ『武田信玄』では、勇ましく戦場にも出ようとする側室里美、『功名が辻』では信長の妹にして戦国の美女として名高いお市なども演じている。今後、唯一無二のキャリアにどんな役が加わっていくのか。魔王の次は「大地」だったら、幸せだが、そうなると、神話の世界か…。いや、ありうる。そう思わせるものが、何かある。