小学生の娘にドスの利いた声で迫り、殴り、そして蹴る。衝撃的な動画の中の母親は、SNS上でセレブ生活を毎日のようにマメに載せることで一部に知られていた女性だった。果たして彼女の本当の姿はどちらなのだろうか──。

《お前何個持ってんねん消しゴム!!!! おまえ、1個しか持ってへんのか、おいこらぁ! なぁ! 消しゴム1個しか持ってへんのかって聞いてんねん! おまえ、何個買ったって! 100個くらい買ったやろが、このバカぁ! ほんまにぃ!》

 文字面だけなら、お笑い芸人のコントにも見える、些末なことでの恫喝口調。しかし、本誌・女性セブンが入手した映像(YouTubeで公開中)からこの音声を聴くと、様相はガラリと変化する。

 入手した動画には生々しいシーンが映っていた。激高する母親。ベッドに座っていた小学生の娘は身を守るように倒れ込む。しかし、母親は逃さない。すかさず娘の上にのしかかって罵声を浴びせる。興奮のあまり、髪は乱れ、ワンピースの裾は大きくめくれ上がった。SNS上のきれいにセットしたヘアスタイルで高級ブランドの服に身を包み、にっこり微笑んでいる“普段”の彼女からは想像がつかない。

 ためらう様子も見せず娘を殴りつけると、体勢を崩しながらも叫びにも似た怒声を上げ、まだ幼い娘のあごの辺りを繰り返し蹴り上げる。これを虐待と呼ばずしてなんと呼ぶのだろうか。夫は一回りも大きい相手に常に真っ向勝負を挑んで角界ファンの心をつかんだが、一方の妻は、小さな小さな娘めがけて、殴る蹴るの暴行を繰り返す。壮絶すぎる虐待の実態だ。

 この女性は、元関脇・嘉風(38才=現・中村親方)の妻Aさんだ。嘉風は大分県出身。小兵ながら軽やかな動きで土俵を盛り上げ、2019年9月に引退するまでに技能賞など三賞を10回受賞している。引退に際しては、故郷のPRのために訪れた大分県の渓谷で負ったけがが原因になったとして、佐伯市などを相手に損害賠償を求める訴訟を起こしたことも報じられた。

 その嘉風がAさんと結婚したのは、2008年12月のこと。翌年10月の結婚披露宴には生まれたばかりの長女も出席していた。このとき、誰がその後、このかわいい赤ちゃんが生みの親に暴力を振るわれると想像しただろうか。現在、夫婦の間には11才になった娘と7才の息子がいる。

 Aさんは以前から、SNSでの情報発信に熱心だった。映っているのは、きれいにヘアメイクしたAさんや高級ブランドの服、芸術的に飾り付けられた食卓など、セレブ生活をアピールするものばかり。子供への愛情の物差しと言わんばかりに、手の込んだ“キャラ弁”も載せていた。さる角界関係者が語る。

「正直、ふたりは仲のいい夫婦という印象が強かったです。嘉風から家族の愚痴などを聞いたこともありませんでした。嘉風は奥さんにべた惚れで。2011年に生まれたばかりの次女を亡くし、そのときはひどく落ち込んでいましたが、夫婦でその悲しみを乗り越えていましたからね……」

 しかし、嘉風が引退した後の昨年6月に状況が一変する。

「Aさんが、娘の目にかゆみ止めの『ムヒ』を押し付けたんです。なんでも、ムヒを塗るスポンジの部分が切れていたとかで、娘さんがやったと思って激高したようなんです」(前出・角界関係者)

 Aさんは冒頭の状況と同様、娘を強烈に責めつけていた。

《おまえ、ムヒをこんなにむちゃくちゃにすんな、オラ!》
《目ぇに入れたろか、オマエ。おい、こらぁ!》

 その直後、娘は強烈な痛みを感じ叫び声をあげる。恫喝だけでなく、なんとAさんは娘の目に実際にムヒを入れたのだ。その後もAさんの口調は変わらず、《目ぇ、見えんくなるぞ! 白くなんねん!》と追い討ちをかけるのだった。この一部始終の音声が『デイリー新潮』により、インターネット上で公開されると世間は騒然とした。

 冒頭の“消しゴム虐待”は、登校前にAさんが持ち物確認をしたところ、娘の筆箱に消しゴムが入っていなかったことが発端になっている。ムヒにしても消しゴムにしても、母親が娘の体を傷つける理由にならないことは、論をまたない。

「娘さんにとってはSOSだったのでしょう。嘉風さんが家にいるときといないときのAさんの態度が全然違うため、ただ伝えるだけでは信じないだろうと考え、決死の覚悟で動画を撮影したのだと思います」(嘉風の知人)

新しいお母さんがほしい

 その後の調査の結果、AさんのDVはほかにもあったことがわかってきた。

「娘の左腕をアザが残る強さでスマホを使って殴りつけたり、まだ幼い子供たちを家に放置して外出していたこともわかったんです。食事もSNSには手の込んだものばかりアップするけれど、子供には缶詰を床に置いて食べさせていたこともあったとか。こうした虐待は長年続いていた可能性があり、ようやくそれに気づいた嘉風は『なぜもっと早く子供たちを助けてあげられなかったのか』と、精神的に不安定になった時期もありました」(前出・角界関係者)

 Aさんは、嘉風が虐待の事実を知った頃から、彼に対して不自然な態度をとるようになっていた。

「わざと嘉風さんを怒らせるようなことを言って反論させて録音し、周囲に聴かせていたんです。嘉風さんが大事にしていたバッグを『メルカリで売った』と嘘をついて怒らせたこともあるそうです」(前出・嘉風の知人)

 そのメルカリについては、前出の角界関係者も前々から疑問視していたという。

「幕内の力士となると、力士や親方衆などに贈り物をする機会が増え、お中元には反物を贈る文化があります。一昨年だったか、嘉風に贈られた反物を、Aさんがメルカリに出していたことがあったのです。この件は周囲でも問題視されて、嘉風も注意を受けていたはずです」

 夫婦の関係に決定的な亀裂が入ったのは昨年7月。夫婦げんかがエスカレートし、警察沙汰の騒ぎになったのだ。警視庁担当記者が語る。

「Aさんが110番をしたこともあり、嘉風さんにもDVの嫌疑がありました。Aさんが嘉風さんに首を絞められたと主張したからです。ところが、調べてみると奥さんの体に傷はなく、逆に、嘉風さんの体には複数のひっかき傷が認められたのです」

 その結果、DV被害の報告書を書くべきと警察が判断したのは、嘉風の方だった。

「娘への虐待の件もあり、警察は嘉風さんに子供たちを身寄りに預けるか児童相談所に相談するかを選ばせ、嘉風さんは2人の子供を連れて、その日のうちに実家のある大分へ行ったようです。その後も所轄の警察署が、定期的に経過観察をしていると聞いています」(前出・警視庁担当記者)

 一目惚れした妻が、まさか娘に暴力を振るっていたとは。いま、嘉風は父親として懺悔の日々を送っている。

「家のことを奥さんに任せすぎていた面もありましたからね。そもそも嘉風は少々面倒くさがりな性格でしてね。彼が早く関取になれた理由を知ってます? 相撲部屋では格下の力士が皿洗いや洗濯をするのですが、嘉風はそれが嫌で稽古に励んだそうなんです。でもいまは、『新弟子になった気持ちで苦手な家事を進んでやっています』と話していました。それが子供たちへのせめてもの償いのつもりなのでしょう」(別の角界関係者)

 そうしたお父さんの変化を誰よりも感じているのは、Aさんから虐待を受けていた娘のようだ。

「少しずつ明るくなっているようで、嘉風には『新しいお母さんがほしい』とねだってもいるようです」(前出・角界関係者)

 現在、離婚調停の真っ只中。愛娘の願いが叶うのは、まだ先の話になるだろうが、嘉風はこれからどうしていくつもりなのか。嘉風本人を直撃すると、

「いまは子供たちのことしか考えられないので、取材には一切お答えできません」

 とだけ繰り返した。Aさんの代理人弁護士は締切までに取材に応じなかった。「嘉」という字には“めでたい”という意味がある。子供たちにとって、心地よくめでたい風が吹く日が一日でも早く来ることを祈るばかりだ。

※女性セブン2021年3月4日号