「近年、『ドリーム・オン・アイス』はトップ選手が出ることが少なくなり、若手がメインのショーになっていました。そこに羽生選手が出るというのは本当に驚きです」(フィギュアスケート関係者)

 羽生結弦選手(26才)が7月9〜11日に神奈川のKOSE新横浜スケートセンターで開催される「ドリーム・オン・アイス2021」(DOI)に出場することが発表された。羽生選手が最後にDOIに出場したのは2015年で、今回は実に6年ぶりとなる。

 会場の公式の収容人数は2500人だが、コロナ対策のために1席空けとなり、1公演あたりの客席は1250席という狭き門。しかも、チケット申し込みが先着順とあって、ファンの間では期待と緊張が高まっている。

 羽生選手がDOI出場を決めたのは、ファンサービスのためだけではないだろう。スケート界では7月1日にシーズンが切り替わる。2014年のソチ五輪を控えた2013年7月、共にDOIに出場した鈴木明子選手(36才)や村上佳菜子選手(26才)と行ったインタビューで彼はこう語っていた。

「今シーズン始まるんだって、いつもこのショーをやるたんびに思っています」「やっぱりオリンピックシーズンってすごく大事なシーズンだと思う」。

 その言葉を裏付けるように、羽生選手は2014年のDOIでショートプログラム(SP)の『バラード第一番』を、翌2015年にはフリーの『SEIMEI』を初披露した。

「北京五輪シーズンとなる来季、フリーは羽生選手自身が『天と地と』を継続したいと話していますが、ショートは新しいプログラムになる可能性が高い。6年ぶりにDOI出演を決めたことで、北京五輪にむけた新SPが極秘完成していて、そのお披露目の場になるのでは?という声もあがっています」(前出・フィギュア関係者)

 フィギュアスケート評論家の佐野稔さんも、7月のDOIは羽生選手にとって大きな意味を持つと語る。

「シーズン最後の北京五輪を10合目とするならば、DOIは登り始めの1合目。勝ち負けの世界ではないところで、ピークに向けて少しずつプログラムを試していくには絶好の機会なんです。しかもお客さんの前で滑ることは、自分の技の出来具合や感覚をつかむうえでも非常に重要です」

 カナダに練習拠点を移して以降、羽生選手は地元カナダで開催されるオータム・クラシックを始動の場に選んできた。だが、昨年はコロナ禍で大会が中止になり、その影響がシーズンの最後まで尾を引いたともいわれている。

「シーズンの最大目標だった世界選手権でネイサン・チェン選手(22才)に敗れましたが、羽生選手のなかには“もう少し自分の納得のいく滑りがしたかった”という思いがあったのでは。今年もオータム・クラシックが開かれるかどうかは不透明な状況なので、羽生選手としては中止の可能性も考えておく必要がある。だからDOIを大切な道筋の1つとして位置づけているのだと思います」(佐野さん)

 羽生選手自身は北京五輪への出場を表明していないが、もし五輪3連覇となれば、1920年、1924年、1928年で3連覇したスウェーデンのギリス・グラフストローム選手以来、史上2人目となる。

「五輪3連覇は歴史的な偉業ですから、出ると言い切ることで自分を追い込むことになるのが嫌なのでしょう。でも、彼がDOIで何を滑るかでこのシーズンをどのように描いているかがわかってくると思います」(佐野さん)

 もしかすると7月には、羽生選手の新SP、そして前人未踏の4回転アクセルが見られるかもしれない。

※女性セブン2021年6月17日号