今シーズン好調の阪神タイガース。16年ぶりのVへ──と気の早い虎党たちは大盛り上がりだが、本当にこのまま突っ走れるのか。交流戦後は思うように勝ち星に恵まれず、徐々に雲行きが怪しくなり始めたようにも見える。思い返せば16年前の2008年には13ゲーム差を大逆転される“悪夢”を体験している。「6月に貯金20」「主力が五輪出場」など、今季と状況もよく似ていたのだ。そこで、当時の監督だった岡田彰布氏に失礼を承知で“今年はどうなりますか?”と聞いてみた。

 岡田氏は、今季の阪神が好調の理由について「やはり得点力やろな」と語る。

「これまでも投手陣はよかったが、得点力不足だった。それが、新人の佐藤輝明が入っただけでここまで変わるとはね。佐藤は三振も多いし、率もそんなにええことはない。

 でも、その存在感で周囲まで変えてしまった。三振が多いところは修正していく必要があるけど、開幕直後はインコースを攻められて苦しんでいたのが、だんだんストライクとボールを見極められるようになり、変化球にも対応できるようになった。どんどん進化しているのが楽しみや。

 オレなら大山(悠輔)と佐藤で、ファーストとサードのコンビにしたいけどな。ONみたいに日本人選手で一塁と三塁を守る組み合わせを見てみたいわな。もうひとりのルーキー・中野(拓夢)もあそこまでやるとはね。ショートのスタメンを奪われた木浪(聖也)はちょっと情けないけどな」

 ただ、佐藤や中野は1シーズンを戦ったことがない新戦力だ。

「そこは、2008年と違って東京五輪中の休止期間(7月19日〜8月12日)があるから、暑い時期に休めてプラスではないか。ただ、1か月も試合がないというのは、好調のチームの勢いが削がれるのか、休養が取れて助かるのか、やったことがないから誰もわからへんな」

 2008年に大逆転を許した巨人は、今季も2位につけている。

「巨人はエースの菅野(智之)があんな状態やからな。どちらかというと、巨人よりヤクルトのほうが怖い。ピッチャーが立ち直り、打線もオスナとサンタナが加わって得点力が上がった。ただ、延長戦がないという今季のルールは、後ろがしっかりしている阪神が逃げ切りやすい。7回以降に点を取られないから、逆転勝ちも多い」

 そうなると、いよいよ2005年の岡田阪神以来となる優勝が見えてくる?

「だから、13ゲーム差をひっくり返されたオレに聞くなって。答えようがないわ(笑い)。“大丈夫”とはよう言わん」

 奇しくも北京五輪で離脱し、その後に屈辱を味わった矢野燿大監督が率いるタイガースを待つのは、「悪夢の再現」か、「16年ぶりの歓喜」か。

※週刊ポスト2021年7月9日号