夏の高校野球、全国最多となる189チームが出場する神奈川県予選には、今年もタレントが揃っている。

 中学時代にU 15日本代表の主将を務め、今秋のドラフト上位候補でもある外野手の増田珠(しゅう)を擁す名門・横浜は、昨秋と今春の神奈川大会はいずれも準優勝。2年前に監督を退任した渡辺元智氏が1月に終身名誉監督の立場からも離れ、改めて新体制の船出となる。

 34歳の平田徹監督は、初戦からいきなり大胆な采配を見せた。先発に1年生の左腕・及川(およかわ)雅貴を抜擢したのである。ルーキーで夏の初戦に先発するのは、同校OBの愛甲猛(元ロッテほか)や松坂大輔(現・ソフトバンク)の時もなかったことだ。さらにベンチメンバー20人のうち、3年生は6人で、スタメンにも下級生がズラリ。3回戦の秀英戦ではやはり1年生の小泉龍之介が勝利打点となるスリーランで平田監督の起用に応えた。

 この試合を応援席で見守った愛甲氏は、前体制と比較し、後輩にこんな辛口エールを贈った。

「若いけれどバランスがいい。しかし、横浜は甲子園に出ることが目標ではなく、勝つことが宿命づけられている。渡辺監督が作った『点をやらない野球』からしたら、まだまだ物足りない」

 ハーフの2年生で、外野手兼投手の万波中正ら、ダイヤの原石たちは大会中にどんな成長を見せるのか。増田は言う。

「目の前の試合を大事にして、東海大相模を倒して甲子園に行きたいです」

●文/柳川悠二(ノンフィクションライター/『永遠のPL学園』著者)

※週刊ポスト2017年8月4日号