1976(昭和51)年4月1日、後に多くの伝説を生み出すことになる新番組が始まった。現役時代は高橋ユニオンズなどで活躍した元プロ野球選手、佐々木信也がメイン司会者を務める『プロ野球ニュース』(フジテレビ。現在はCS放送・フジテレビONEで放送中)。この番組はさまざまな点で革新的だった。

 それまで、日本テレビの『11PM』に代表されるお色気番組ばかりだった23時台の深夜帯に、その日に行なわれたプロ野球の試合だけを30分にわたって生放送する。しかも、全国区だった巨人戦だけではなく、パ・リーグも含めた12球団を満遍なく平等に取り扱い、アナウンサーと解説者がペアを組んで全試合を丁寧に解説していくスタイルは斬新だった。この番組を通じて、「動くパ・リーグ選手を初めて見た」というファンも多かった。

 FNS(フジ・ネットワーク・システム)が総力を結集、東海テレビが中日、関西テレビが阪神、南海(現・ソフトバンク)、阪急、近鉄(現・オリックス)、テレビ西日本が太平洋(現・西武)をカバーし、全球団をきめ細かく報じた。また、スポーツ新聞のように「球団担当記者制」を採用。全チームにそれぞれ専属のディレクターを密着させたことで、選手への緻密な取材を可能にした。

 さらに、「見て楽しい映像作り」にもこだわった。当時のスポーツニュースは、現場音のない映像に勇ましいマーチ調の音楽を流して、ナレーションで経過説明をするのが主流だったが、『プロ野球ニュース』では磁気トラック付きのフイルムを使用することで、画と音の同時録音がついに実現。迫力ある映像と現場音を楽しむことが可能となった。

 番組は開始直後から話題を呼んだ。初回視聴率こそ3.1%だったものの、すぐに7〜8%台を推移。多くのプロ野球ファンに好評を持って迎え入れられ、『11PM』の牙城を脅かすまでに成長した。

 当初、「野球ニュースだけで30分の生放送ができるのか?」と懐疑的だったテレビ関係者も多かったが、翌1977年には35分、1980年には45分、1983年には55分と放送時間は拡大していく。視聴率が上昇すれば、当然世間も黙って見過ごしはしない。大手企業が続々とスポンサーに名乗りを上げ、名実ともにフジテレビを代表する看板番組へと成長していくのに、それほど時間はかからなかった。

文■長谷川晶一:1970年生まれ。出版社勤務を経て、2003年にノンフィクションライターとなる。主な著書に『このパ・リーグ球団の「野球以外」がすごい!!』『いつも、気づけば神宮に 東京ヤクルトスワローズ「9つの系譜」』(集英社)、『最弱球団 高橋ユニオンズ青春記』(彩図社文庫)、『プロ野球語辞典:プロ野球にまつわる言葉をイラストと豆知識でカッキーンと読み解く』(誠文堂新光社)がある。

※週刊ポスト2017年8月11日号