セ・パ両リーグで最下位を独走するヤクルトとロッテ。もはや、高校球児たちにも勝てないのではと囁かれるほどで、今春のセンバツ覇者・大阪桐蔭や、惜しくも甲子園出場を逃した清宮幸太?(3年)率いる早稲田実業といった強豪校との試合を想定して専門家に聞いてみた。

 すると、野球評論家の広澤克実氏や江本孟紀氏らは「負けはしないだろうが」と前置きしつつ、練習姿勢や勝負弱さなどプロへの苦言が続出。そうなると大真面目に、「高校生が金属バット使用可、プロが外国人選手を出さないなら、いい勝負になるのでは」(スポーツ紙デスク)といった声さえあがる。元阪神の遠山奬志氏はこんな言い方をした。

「そもそも、ロッテの外国人選手といって、名前が思い浮かぶ人のほうが少ないんじゃないですか。ソフトバンクならサファテ、日本ハムならレアードなど、野球ファンなら各球団の主力外国人選手の名前が浮かびますが、出てこないのは12球団のなかでデスパイネもナバーロもいなくなったロッテくらいではないか」

 もはやハンデすら必要ないのかもしれない。その遠山氏は阪神時代、「地獄の15年(1987〜2001年)」を経験している。

「阪神ファンのヤジはそりゃあ凄かったですよ。モノは飛んでくるわ、ファンとケンカになるわで大変でした。確かに、“PLと入れ替え戦をやれ!”なんてヤジもありました」

 当時は甲子園球場の外野にラッキーゾーンが設けられ、そこにブルペンがあった。控え投手が登場すると、「投げんでええ。お前が出たら負けるがな!」と厳しい“声援”も日常茶飯だったという。

 対照的に、今季のヤクルトのファンから「清宮のほうが神宮に客を呼べるんじゃないのか!」といったヤジは聞こえてこない。

 むしろ温かささえ感じられる。6月24日の横浜戦ではリーグ最速の40敗目となったが、敗色濃厚の9回二死、スタンドからは期せずして球団の応援歌「今ここから」の大合唱が始まった。

 阪神で1985年の日本一を経験し、2004〜2008年に監督を務めた岡田彰布氏はこういう。

「今は、ファンもマスコミも優しいな。暗黒時代の阪神では、札幌遠征で負けが続くとスポーツ紙が当時の細川たかしのヒット曲になぞらえて“北墓場”と茶化しよって、それを読んだファンが球場でヤジる。ホンマにきつかった」

 ただ、「高校球児に負けるんじゃないかという罵声が刺激になって、何くそと頑張れましたよ」(遠山氏)という側面も見逃せない。むしろ、ヤクルト、ロッテのファンは、球場で心を鬼にしたヤジを飛ばすべきではないのか。江本氏はこう断言する。

「今のヤクルトもロッテも暗黒時代の阪神より負け方が酷いですよ。さすがに弱い時のタイガースも、ここまでの連敗はしていませんでしたからね。いっそ本当に早実と対戦して、清宮君にホームランを打たれる方が、目が覚めるんじゃないでしょうか」

 夏の甲子園は8月7日に開幕する。負けたらもう二度と同じチームで戦えないという張り詰めた空気。弱小プロ球団の選手たちにはどう映るだろうか。

※週刊ポスト2017年8月11日号