大相撲名古屋場所で白鵬は、いずれも歴代最多となる通算1050勝、幕内最高優勝39回を達成、改めて「角界史上最強の横綱」を証明してみせた。その白鵬が、ついに日本国籍取得を決めた。年寄株を持つ親方になるための決断だ。その条件の一つが「日本国籍を有する者」である。

 これまで白鵬が考えたのは、著しい功績を挙げた横綱だけに認められる「一代年寄」であれば、特例としてモンゴル国籍での襲名が認められるのではないかということだった。

 現役の四股名をそのまま名跡とする「一代年寄」は大鵬、北の湖、貴乃花という大横綱にのみ認められてきた。もちろん、成績の上では白鵬にもその資格がある。

 白鵬は、大鵬の持つ史上最多優勝32回の記録を更新すれば、特例が認められると考えていた時期もあったようだ。そして、2015年の初場所で33回目の優勝を果たす。ただ、2015年3月に、そのことを本誌・週刊ポストが北の湖理事長(当時)に質したところ、理事長は特例を明確に否定した。

「大鵬の優勝記録(32回)を上回ったあたりから、横綱の周辺で“帰化を決めたようだ”と囁かれ始めた。その報道解禁が、白鵬が尊敬する千代の富士の通算勝ち星(1045勝)の記録を破り、歴代横綱の頂点に立った時と設定された。本人の口から出たかたちにはしなかったが、母・タミルさんのコメントがすぐに出た。名古屋場所を決意表明のタイミングとすることがあらかじめ一部報道陣との間で決まっていたようです」(協会関係者)

 かつて旭天鵬(現・友綱親方)が2004年1月に帰化を申請、翌年6月に日本国籍を取得した際には、モンゴル国内で「カネのために国を捨てるのか」とバッシングが起こった。

 白鵬の父、ジグジドゥ・ムンフバト氏は、モンゴル相撲の横綱で同国初の五輪メダリスト(1968年メキシコ五輪、フリースタイルレスリング銀メダル)になった国民的英雄だ。

「それだけに帰化への反対の意向は強かったといいます。ただ、時天空(元・間垣親方、故人)や朝赤龍(現・錦島親方)などが相次いで帰化するなどしてモンゴル国内の理解も進み、白鵬も父の説得に漕ぎ着けたのでしょう」(同前)

 白鵬は2007年、徳島県出身の紗代子夫人と結婚している。通常の帰化申請には、認定まで半年から1年がかかるとされるが、日本人女性と結婚していることから、もっと早く受理される公算も大きい。

「白鵬が日本国籍を取得すれば、その時点で一代年寄が協会の理事会で認定されると考えるのが自然です」(相撲担当記者)

※週刊ポスト2017年8月11日号