源泉の数が約2万7000以上という世界一の温泉大国・日本。その効果を存分に活用しないなんてもったいない! 不調改善に期待できる温泉を、医学博士の一石英一郎さんが科学的目線でピックアップした。

「泉質は大きく分けて10種に分けられます。全泉質に共通する効能は、高血圧と糖尿病の改善。加えてそれぞれの泉質ごとに、期待できる効能があります」(一石さん・以下同)

 温泉の効能には、【1】温度や水圧による温熱効果やマッサージ効果(物理的作用)、【2】食塩や二酸化炭素など、温泉に含まれる成分による健康効果(化学的作用)、【3】自律神経やホルモンバランスを整えることによる癒し効果(生物学的作用)の3つがあると一石さん。

「入浴すると温泉成分は皮膚に付着して膜を張り、芯から体を温めます。さらに、炭酸ガスや硫化水素ガスなどが含まれる温泉では、皮膚を通して吸収されたガスが血管を拡張し、血流を促します。その結果、血圧も低下し、免疫力もアップ。ほかにも老廃物の排出、鎮痛作用、美白効果…など、本当に数多くの効果が期待できます」

 効果が高い温泉だが、入浴は1日に4回までを限度に。また入浴前には心臓に遠い場所からかけ湯を行い、温度差によるヒートショックを防止することが大切。

「基本、入浴後に温泉成分は流さないほうがよいのですが、肌に刺激の強い硫黄泉や酸性泉は真水で洗い流しましょう」

◆10種類の泉質の特徴

【硫酸塩泉】
硫酸と聞くと危ないのではと思いがちだが、古くから火傷や怪我に効くと重宝されてきた“傷の湯”である。そのため、手術後の回復などにもよいとされている。
・効能:火傷・切り傷・血圧低下・動脈硬化など

【炭酸水素塩泉】
重曹などを含む弱アルカリ性のお湯は、肌にやさしく美容効果がある。お湯から上がるとひんやりと爽やかな感覚があり、暑い日の入浴にもおすすめ。
・効能:美肌作用・皮膚乾燥症・肌荒れなど

【塩化物泉】
濃い塩分量が皮膚を刺激して、体を芯から温めポカポカにするため“熱の湯”ともいわれる。リラックス効果も高く、自律神経のバランスも整えてくれる。
・効能:自律神経・末梢循環障害・冷え性・血流向上・殺菌作用など

【単純泉】
全国の7〜8割を占める最もポピュラーな温泉。マイルドなお湯は無味無臭で、湯あたりしにくく入りやすい。食塩・マグネシウム・亜鉛の成分が疲労に効く。
・効能:疲労回復・動脈硬化・リウマチ・脳卒中・病後、術後の静養など

【硫黄泉】
卵の腐ったような臭いのする硫黄泉。血中に硫黄が巡ることで体内の酸化を防ぎ、細胞や遺伝子を活性化させる。ただし、硫黄泉の臭気の吸いすぎには要注意。
・効能:細胞活性化・血管拡張・鎮痛・血流促進など

【含ヨウ素泉】
消毒液に含まれるヨウ素成分には殺菌作用があり、臭いも少し薬品のような香りがする。また全身の代謝を促し、皮膚や髪のターンオーバーを早めて美容にも◎。
・効能:殺菌作用・代謝活性・甲状腺ホルモン活性化など

【含鉄泉】
鉄分が豊富なため鉄欠乏性貧血や疲れやすい症状にはもってこい。見た目は茶褐色。成分の鉄分は酸化すると錆びるため、源泉に近い温泉を選ぶとよい。
・効能:めまい・貧血症・神経痛・疲労回復・うつ症状など

【酸性泉】
世界的に数の少ない貴重な泉質。強い殺菌効果があり、水虫やアトピー性皮膚炎にも効くとされ、湯治では仕上げの湯として他の泉質と共に利用されることも。
・効能:殺菌作用・アトピー性皮膚炎・湿疹など

【二酸化炭素泉】
炭酸水のような気泡が肌につく泉質。入浴後は血圧低下効果が長く持続し、心臓への負担が小さいというメリットもある。低温でも保温効果は抜群だ。
・効能:心臓疾患・冷え性・末梢循環障害・血管拡張など

【放射能泉】
ラジウムやラドンなどの放射線物質が含まれている泉質。放射線は危険なイメージが強いが実は微量であれば、細胞を刺激して免疫力を増す健康効果がある。
・効能:免疫力アップ・リウマチ・痛風・更年期障害・細胞活性化など

【Profile】医学博士・一石英一郎さん/国際医療福祉大学病院内科学教授。全国の温泉を巡り、温泉を活用した健康法に精通。温泉入浴指導員の資格を持つ。著書に『医者が教える最強の温泉習慣』(扶桑社)。

※女性セブン2019年9月26日・10月3日号