京都大学大学院医学研究科消化器外科医の山本健人氏が上梓した『医者が教える正しい病院のかかり方』は、病院にまつわる初歩的な疑問の数々に丁寧に答えた内容で、“気になっていたけど先生には聞きづらかった”と読者の共感を集めているという。

 今回は特別に山本氏が、「病院にかかる前」の6つの疑問に答えてくれた。

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【Q:最低いくら持っていく?】

 医療機関によって違いますが初診料の平均は2500〜3000円程度。初診で行なわれる検査は血液検査やレントゲンなど数百円から数千円程度のものです。MRIや内視鏡検査など1万円を超える精密検査は「後日予約を取って」行なう場合が多い。1万円持っていれば安心と言えますね。

【Q:心付けは用意すべき?】

 必要ありません。心付けがあったからといって優先的に治療してもらえたり、治療の方法が変わるといったことはありません。

【Q:休日診療の病院は信用できる?】

 医療機関には「平日と休日」という概念はなく、各々の医療機関が「診療時間」と定めて病院を開けている時間以外はすべて「救急外来」扱いです。休日でも病院が「診療時間」としている時間帯は、診察の質などは平日と変わりないと思っていいでしょう。

 ただし救急外来になると変わってきます。ドラマ『コード・ブルー』などのように、どの科の病気でも対応できる救急の専門家がいる医療機関はごく限られているからです。

 多くは当番の医師が持ち回りで診察しているので専門外の医師に当たることもある。緊急性が高ければ、専門科の医師を呼び出して治療を依頼しますが、軽症の場合は応急処置を行ない、平日、専門医がいる外来を再度予約することになります。

「救急車で運ばれたのに長いこと待たされた」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、対応する救急外来によっては、救急車で運ばれても自分で歩いてきても、症状が同じならば待たされる時間は同じであることも覚えておきましょう。

【Q:救急車はどんなときに呼べばいい?】

 そもそも、どのようなときに病院に行けばいいのかというと、これまで経験したことのない強さ、種類(ジンジン、ズキズキなど)、場所の痛みを感じたときです。

 では、救急車を呼ぶのはどのようなときでしょうか。一刻を争う病気で言えば血管系です。

 たとえば心筋梗塞はすごく重苦しく圧迫感のある痛みに襲われると言います。大動脈解離などの場合は痛みが短時間で移動し広がることもある。クモ膜下出血などは頭をバットで撲られたような激しい痛みです。そういう痛みがある場合は救急車を呼びましょう。

 ただ、激しい痛みであっても、尿管結石などの場合は命に別状はありません。痛み止めを処方するだけ。こうした軽い病気の場合は前項の通り、診療時間内に再度診察を受けなければならなかったりするので、救急車を呼ぶかどうか迷ったときは「救急利用リーフレット(総務省消防庁)」を参考にしたり、市町村の救急相談窓口「♯7119」に電話して相談することをお勧めします。

【Q:救急車は手ぶらで乗っても大丈夫?】

 救急車を呼ぶときは本人もご家族も気持ちが動転しており、履物やいつも使っている杖、上着などを持たずに乗り込んでしまうことがあります。

 ただ、救急搬送された患者さんのほとんどはその日のうちに帰宅するため、履物や杖がないと帰れない。また、治療費や帰りの交通費などにお金がかかるのでお財布も忘れずに持って行きましょう。

【Q:初診時は家族同伴のほうがいい?】

 会話のキャッチボールができる患者さんであれば、初診時からご家族に同伴していただく必要はありません。がんや難病など、その後の治療の方針を説明したい場合でも、「後日ご家族と一緒に来てもらう」ことが多い。

※週刊ポスト2020年1月3・10日号

医者が教える 正しい病院のかかり方 (幻冬舎新書)