コロナ禍にもかかわらず、異例の大ヒットを記録した映画が『事故物件 恐い間取り』だ。公開4週で興行収入は19億円を突破した。

「事故物件住みます芸人」として知られる松原タニシ氏のベストセラーが原作で、ストーリーはホラー映画そのもの。“ネタ”のために事故物件を渡り歩いて住む芸人が、やがて“最悪”の物件に出会い、想像を絶する恐怖体験に直面する──。

 映画の内容が示すように、「事故物件」には常に負のイメージが付きまとう。しかし、その“気味悪さ”さえ受け入れることができれば、事故物件にはメリットもある。

 松原氏は、地元・大阪では家賃3万円の2DKに住み、東京・山手線内でも12畳6万円のワンルームを後輩芸人(三日月マンハッタン仲嶺)とシェアしている。

 大阪の物件では、前入居者がトイレで死亡。死因は不明のままだという。東京のほうは過去に50代の男性が首吊り自殺をした部屋だ。いずれも家賃は相場より大幅に安くなっている。松原氏が言う。

「過去に不幸があった部屋に住むのは、決して気持ちのよいものではありません。映画のように恐い思いをすることはないけれど、モヤモヤしたものをずっと抱えながら住んでいる。でも、事故物件には掘り出し物があるのも事実です。家賃が半額になる場合もある。安さに惹かれて、お金に困っている若い人がわざわざ事故物件を選んで移り住んでいるという話も結構聞きます。気にしない人からしたら、“住めば都”ですよ」

 今年8月には、ノーベル文学賞作家の川端康成が1972年に自ら命を絶った部屋が「事故物件」として売りに出され、成約していたことが報じられた。神奈川県逗子市にある高級マンションの2DKで、江の島と富士山を一望できる。ネットには「文豪が枕元に立つかもしれないなんて、むしろ羨ましい」との声も上がった。

※週刊ポスト2020年10月9日号