高齢化が進む日本社会。定年後も働き続けることは当たり前となりつつある。そこで重要なのがどんな業種・職種に就くか、だ。65歳を過ぎてからは「再就職」が可能な業種・職種を選び、70歳まで働けるかどうかが、安定した老後資金を得るためのポイントとなる。

 コロナ前は、コンビニや外食、ビル清掃などの職種は人手不足だったが、コロナ後はニーズが大きく変わった。人事ジャーナリストの溝上氏が語る。

「コロナで外注のフリーランスの多くは仕事を失った。それは雇用延長で元の会社から仕事を受けていたような人たちで、企業にとって必ずしも必要な仕事ではなかったから切られるのも早かった。

 しかし、60代がフリーでバリバリ働いている業界もある。たとえばリモートやテレワークの拡大で人手が足りないIT業界です。プログラムができるSE(システムエンジニア)はどこでも引っ張りだこで、アプリの開発などの業務委託を受けて月50万〜60万円稼いでいる人は珍しくない」

 再就職に有効な資格も、働きながら取得できる。

「設備業界も人手不足が深刻です。工場廃水プラントなどの管理、メンテナンスは景気に左右されないし、仕事はいくらでもあるが、若い人はやりたがらない。かなり高い時給で募集しています。簡単な資格が必要な業務もあるでしょうが、会社が費用を出して取らせてくれるはずです」(溝上氏)

 65歳で退職したAさんは畑違いの運送会社で再就職した。配送に出るトラック運転手の体温管理やシフトを組む運行管理の仕事だ。

「運行管理者の資格があれば給料が上がる。Aさんは現在70歳の運行管理者が退職したら引き継ぐことになるから、今のうちに資格を取っておくと言ってました。その資格があれば、会社を変わっても仕事は多い。高齢者の雇用環境が厳しいとはいえ、働いて仕事を覚えながら取得すればつぶしのきく資格はかなりあります」(同前)

 来年4月施行の70歳就労法は企業に社員の継続雇用を強制するのではなく、他社への再就職斡旋、フリーランスや起業させて仕事を外注する方法などから企業が選ぶことができる。社員に選択の権利はない。

 これまでは正社員として雇用延長すれば会社に残ることができたが、65歳からは法律で雇用を保護されない。会社にあてがわれる仕事をこなすだけではいつ失業して下級に転落するかわからない。

※週刊ポスト2020年11月27日・12月4日号