食料品の値上げが家計を苦しめている。目立つのが食用油だ。日清オイリオグループは家庭用商品を8月から1kgあたり50円以上引き上げると発表した。同社は今年4月と6月にもそれぞれ20〜30円値上げしており、年3回の値上げは過去最高。昭和産業やJ-オイルミルズも3度目の値上げを明らかにした。

 消費経済ジャーナリストの松崎のり子氏が指摘する。

「食用油は輸入大豆を原料としていますが、中国の大豆需要が急増した煽りを受けています。いち早くコロナ禍から回復した中国の“旺盛な需要”は国内生産分だけでは賄えず、世界的に大豆の需給を逼迫させている。

 農水省の『海外食料需給要レポート』によると、今年は中国の大豆輸入が1億トンを超えると予測され、日本国内の価格への影響は今後も注視する必要があります」

 食用油を原料に使うマヨネーズも値上げされる。キユーピーは7月出荷分から約2〜10%、同じく味の素も最大10%の値上げを予定している。

 大豆需要急増の煽りを受けたのが、そばだ。

「中国政府は国内で大豆やトウモロコシの作付けを奨励し、農家に補助金を出している。その結果、ほぼ日本向けだったそば栽培からの切り替えが進んでいます」(外食ジャーナリストの中村芳平氏)

 そばチェーン店の多くは中国産のそば粉に頼っており、製粉大手の日穀製粉は3月、中国産原料を使ったそば粉の値段を1kg70円程度上げた。

 肉の値上がりにも、中国の影響が窺える。輸入牛肉の約5割を占める米国産が高騰。ショートプレート(バラ肉)の卸売価格は今年1月にキロ687円だったが直近では1190円と倍近くになった。

「コロナ禍や天候不良で牛肉の供給が減った一方、ワクチン接種拡大により、とりわけ中国の牛肉輸入量が急増したことで需給バランスが崩れた」(第一生命経済研究所・首席エコノミストの永濱利廣氏)

 米農務省によると、米国から中国への牛肉輸出は3月に1万4552トンと、月間の過去最高を記録した。これは2019年の年間輸入量を上回る。

 日本の食卓は“爆食チャイナ”に侵食される一方だ。

※週刊ポスト2021年7月2日号