「隠されたものほど見たくなる」──マスク生活が続いたことで、以前よりもマスクを外した後の口元に視線が集まってしまうかもしれない。あなたの口元は大丈夫だろうか。女優たちも実践するメンテナンス法をカリスマ歯科医師に聞いた。

 両脇に議員を従え、赤絨毯が敷かれた階段を下りる女性。“初の女性総理大臣”に世間は騒いだが、さらに話題を呼んだのは彼女の美貌で──。

 これは、映画『総理の夫』のワンシーン。9月23日に行われた舞台挨拶には、主演の中谷美紀(45才)が登場。デコルテをあらわにしたブラックドレス姿で会場を魅了した。共演者たちも絶賛する美しさだが、輝いていたのは白くハリのある肌だけではない。笑うたびに見える白い歯と、上がった口角も彼女の笑顔を引き立てていた。

「中谷さんは口元のケアに非常にこだわっていて、20代の頃からずっと同じ歯科クリニックに通っているとか。生活拠点をオーストリアに移した後も、帰国するたびにケアを受けているそうです」(芸能関係者)

 彼女が通うのは、東京・恵比寿に本店のある歯科医院「ホワイトホワイトデンタルクリニック」。院長をつとめる歯科医師の石井さとこさんは、田中みな実(34才)、松本伊代(56才)、長谷川理恵(47才)らも信頼を寄せるカリスマ。著書の『マスクしたまま30秒!! マスク老け撃退顔トレ』(集英社刊)も注目されている。かつて「芸能人は歯が命」というキャッチフレーズが流行したが、彼女たちはなぜ口元ケアにこだわるのだろうか。石井さんが解説する。

「人の印象は5秒で決まるといわれています。日本では感情が表れる目を重要視すると考えられていますが、唇や口角にも同じくらい感情が表れる。好印象を与えるには、歯はもちろん、口元全体のメンテナンスをする必要があります。また、コロナ禍のいま、歯科受診を控え、虫歯や噛み合わせの悪い歯をそのまま放置している人が多いのです。いまこそ、お口メンテに励むべきです」(石井さん・以下同)

 リモートワークなどでコーヒーやお茶を飲む回数が増えた人も注意したい。以前に比べ、歯の黄ばみが目立っている可能性があるという。黄ばみを落とすには、クリニックでのホワイトニングが効果的だが、自宅でも歯を白くする方法もある。女優たちが実践している「石井流歯磨き」を教えてもらった。

 まず、歯磨きの前に、ペットボトルのキャップ1杯ぶんの水で口をゆすごう。

「少ない水で汚れを落とす、ドラム式洗濯機をイメージして。頬に水をぶつけるようにしてゆすぎましょう」

 歯ブラシは、硬すぎると逆効果。歯のエナメル質が傷つく危険がある。硬さは「ふつう」を選ぼう。

「ブラシ部分が3列ほどのコンパクトなタイプがおすすめ。また、毛の長さがバラバラで表面が波形なものよりも、平らなものを選びましょう。ブラシが歯の表面により密着し、汚れを落としてくれます」

 歯磨き粉の選び方にもコツがある。実は、汚れをしっかりと落としてくれそうな研磨剤入りは、歯の表面に傷をつけるリスクがあるという。

「粗い研磨剤入りは避け、汚れや着色汚れのステインに吸着する『ポリリン酸』を含むものがおすすめです。また、味や刺激が強すぎるものも注意してください。歯磨きの時間が短くなってしまうので、5分以上磨いても口の中がピリピリしない低刺激のものを選びましょう」

 歯と同様に歯茎の汚れも落とす必要があるが、ゴシゴシとこするのはご法度だ。

「目安は歯ブラシで指の甘皮をこすって痛みを感じない程度。強い刺激を与え続けると、歯茎が下がってしまいます。歯茎は下がると戻りづらく、知覚過敏や虫歯になりやすくなるので注意しましょう」

舌が弱ると口元ブスになる

 急増しているのは口腔内のトラブルだけではない。マスク生活が続くことで “口元ブス”が増えているというのだ。

「マスク生活が始まる以前は、人の視線を気にして口をキュッと結んだり、口角を上げるなどしていましたよね。ですが、いまはマスクの下で口角が下がりっぱなしになっていたり、口をぽかんと開けたままになっている人が多い。習慣になると、唇を囲むようについている『口輪筋(こうりんきん)』が弱り、ほうれい線やしわの原因に。実年齢より3才以上老けて見える恐れがあります」

 口輪筋は骨に密着していない筋肉のため、咬筋(こうきん)などほかの筋肉より緩みやすい。その上、40代からは加齢によってさらに衰えやすいため、意識して動かしたい。

モダイオラスほぐし

 まずは準備体操から。口輪筋のほか、顔全体の筋肉が集中する「モダイオラス」という部分を舌で刺激する。

「モダイオラスは顔の筋肉が集まっているターミナル駅のような場所。ここを舌でほぐすことで、顔全体の筋肉が動きやすくなり、舌の運動にもなります」

レロレロエクササイズ

 口を閉じたとき、舌はあごの上下どちらにつくだろうか。下につくなら、運動不足で舌が下がっている状態だ。しかし、「レロレロ」と唱えるだけで、改善することができる。

「舌はそれ自体が舌筋(ぜつきん)という大きな筋肉。喉の奥までつながっていて200gほどあるので、鍛えなければ重みでどんどん下がってしまいます。舌が下がると口呼吸になり、口輪筋も弱るという悪循環に陥ってしまう。できるだけゆっくりと、大きな声で唱えるのがポイントです」

ぴよぴよぷー体操

 口輪筋を動かして鍛える体操で、慣れるまでは、やや難しいと感じる人がいるかもしれない。

「モダイオラスが柔らかくなると口輪筋を動かしやすいので、しっかりとほぐしておきましょう。頬をキュッと真ん中に寄せることでフェイスラインがスッキリして小顔効果も生まれますよ」

美唾液プッシュ

 口元美人になるには、唾液の量も重要だ。唾液には、病原菌やウイルスの侵入を防ぐ「lgA」という免疫物質が含まれており、歯周病や口臭の予防効果がある。さらに、皮膚の新陳代謝を促進する美肌ホルモンの「パロチン」も含まれている。健康と美容に、唾液は欠かせないのだ。先に紹介した動きでも唾液が出るが、両耳の前にあるツボを押すとさらに効果的だ。

「リラックスしていると唾液が出やすくなるので、強くグリグリ押さず、気持ちいいと感じる程度にしましょう」

 口元美人を目指して、さっそく始めてみよう。

イラスト/清水利江子

※女性セブン2021年10月14日号