東京の湾岸地区や神奈川県の武蔵小杉駅周辺など、タワーマンションが数多く立ち並ぶ街が人気を集めている。そういった高層マンションは、高層階ほど購入費が高くなるものだが、それを理由に会議の議決権に差をつけることはできるのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
 高層マンションに住んでいます。先日、居住者会議があり、そこで高層階の住民から、例えば共用部分の駐車場の使用など住人の投票で決まる事案について、自分たちは低層階の部屋よりも高額で購入したのだから、1票の価値を2票分にしてほしいとの要望が出されました。この主張は正しいのでしょうか。

【回答】
 マンションなどの区分所有建物では、区分所有者が全員で管理団体を構成し、共用部分の管理などの事項を、その集会で多数決で決定することになります。問題の議決権については、建物区分所有法第38条では「各区分所有者の議決権は、規約に別段の定めがない限り、第14条に定める割合による」と定められています。その第14条が定める割合とは、マンション共用部分の持分の割合のことで、各区分所有者が持っている専有部分の床面積の割合で決めるのが原則です。

 この共用部分の持分割合により、管理費用などの負担を決める扱いになっています。しかし、共用部分の持分割合は規約により変更できます。変更すれば、その割合で議決権の割合も決まります。また、第14条の割合にかかわらず、議決権の割合自体も規約で定めることができます。

 専有部分の面積割合で議決権を定めると膨大な分母で計算される複雑な割合になることが普通であり、これを避けるため、一戸一議決権とする例も見られます。

 そこで理由はともかく、各戸の議決権に差をつけることができないことではありません。ただし、上層階住民が価格を反映した議決権を持つためには、集会で規約を変更しなければなりません。それには、集会で区分所有者の頭数の4分の3以上で、かつその時点の議決権の4分の3以上の賛成が必要です。総会出席者基準ではなく、すべての区分所有者を前提とするので、ハードルは高いと思います。

 高層階の議決権を大きくするのであれば、それだけ共用部分の経済的恩恵を受けているはずですから、管理費などの共益費負担を大きくしないと合理的ではありません。また、共用部分の固定資産税の負担は専有面積割合によるので、その調整も必要です。

【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2017年8月4日号