報道番組『スーパーJチャンネル(土曜)』やBS朝日『日曜スクープ』のメインキャスターを務めるテレビ朝日入社28年目の山口豊アナウンサーが、初の著書を出版した。

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タイトルは、『「再エネ大国 日本」への挑戦』(山と溪谷社、2月13日発売)。

その名の通り、再生可能エネルギーに関するドキュメンタリーだ。本書は、「人口減少と温暖化への“処方箋”にもなる」という。山口アナ自身が解説した。

――『「再エネ大国 日本」への挑戦』執筆のきっかけは?

山口アナ:「これまで、『報道ステーション』でのリポーターを10年間務めるなどの経験のなかで、日本のみならず世界の温暖化や災害現場の最前線を取材してきました。最近は特に、温暖化による災害の被害が激しくなっていると肌で感じています。

昨年2019年は、過去100年で最も平均気温が高い1年でした。日本の年間平均気温は100年前に比べ“1.24℃”も上がっています。一昨年の西日本豪雨、昨秋に東日本を中心に甚大な被害を出した台風、そしてこの冬の記録的な暖かさ。海外でもオーストラリアの山火事で10億匹以上の動物が犠牲になっています。何かがおかしいですよね。

一方で、日本は人口減少社会に突入し、1年間に50万人も人口が減っています。

私は全国を取材するなか、高齢化や人口減少によって地域が消滅するかもしれないというピンチに追い込まれた町が、そこにある自然資源(太陽光、風力、地熱、水力、森林)を再生可能エネルギー(再エネ)として活かし、それをテコにして元気になっている様子を目撃してきました。

再エネによる発電事業が地域にお金を生み、雇用を生み、都会に出ていった若者が地域に戻るようになっているのです。これは、日本全国にも当てはめられる地域復活のモデルケースになるのではないかと思い、執筆を始めました」

――本業のアナウンサー業務もあるなか、いつ執筆を?

山口アナ:「朝です。50歳を超えて最近すっかり早起きの体質になってしまいまして(笑)、午前5時くらいから毎日2時間ほど書き続けました。休みの日もほぼ家にこもって書いていましたね。4か月くらい、そんな生活が続きました。本当に大変でしたが、書き終えた瞬間の達成感、最高に気持ちよかったです」

◆再生可能エネルギーの活用と、日本の未来

自然資源を再生可能エネルギーとして活かす人々を取材する山口アナウンサー

――再生可能エネルギーについて教えてください。まず、再エネにはどのようなものがあるのですか?

山口アナ:「皆さんご存じなのは、太陽光発電ですよね。屋根に太陽光パネルをつける家も増えました。そのほかに、日本は温泉が豊富ですから、その熱を活かした地熱発電。また、日本は山が多く雨も多いので、全国にある小さな沢でも高低差を利用して少水力発電ができます。

さらに日本の国土の7割は森林で、その4割が戦後植林されたスギなどの人工林です。実はいま、林業が衰退し放置され荒れた森が全国に存在するのです。そんな見捨てられた森を手入れし、出てきた木材を燃料にする木質バイオマス発電も全国に増えています。そして日本は海洋国家です。海の上で風車を回す洋上風力発電も動き始めました。

日本にはこうした再エネ資源が豊富に眠っていて、日本全体の電力需要の1.8倍も存在しているといいます(※環境省2020年1月)。しかし、全発電量に占める再エネの比率は約17%にとどまり(※2018年度)、再エネ比率が30〜40%台にもなるヨーロッパ主要国に比べてだいぶ見劣りします。

しかも、そうした再エネ資源は、人口減少に悩まされている地方に多く眠っているのです。こうした地域に豊富にある再エネ資源を利用して元気になった町が、いま各地に現れ始めています」

――再生可能エネルギーの活用が進むと、日本の未来にはどんな良いことが?

山口アナ:「実は、日本は先進国ではまれにみる“化石燃料依存国”です。石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料に85.5%も依存し(※一次エネルギーに占める割合)、ほとんどは輸入です。海外からの化石燃料購入に日本が払った金額は、2018年度にじつに19兆円を超えました。

その大金の一部でも国内の地方発の再エネに支払えば、海外へ流出していたお金が国内に回り、地方が元気になるのです。しかも再エネは二酸化炭素を出しませんから、温暖化対策にもなります。

注目されるのは、最近急速に安くなっている再エネの発電コスト。実はあと5年で、事業用の太陽光や風力発電は、化石燃料で最も安い新規の石炭火力発電や原発の発電コストを下回り、最も安い純国産のエネルギーになるとみられているのです」

◆「勇気を持って未来への一歩を踏み出した」人たちの軌跡

自然資源を再生可能エネルギーとして活かす人々を取材する山口アナウンサー

――都会に暮らす生活者レベルでは、どのように再生可能エネルギーをつくったり活用したりすればよいと考えますか?

山口アナ:「太陽光発電のコストは、この10年で3分の1まで下がり、だいぶ安くなりました。太陽光パネルを屋根に設置して電気代を節約できる時代になったのです。自宅に太陽光パネルがついていれば、台風など災害での停電時にも、自家発電して電気を使用することもできます。

また、今は電力の自由化で、電気を販売する会社を自由に選べる時代です。地方発の再エネ電気を売る会社もありますので、そうした再エネ電気を買えば、疲弊した地方を支援することにもつながるのです」

――本記事の読者にもっとも伝えたいことは?

山口アナ:「この本は、各地域の改革者の軌跡を詳述しています。皆さん、地域が消滅するかもしれないというピンチに追い込まれるなか、勇気を持って未来への一歩を踏み出し、周囲を説得し、困難を乗り越えて改革を成し遂げました。その生きざまは、将来を見通せないこれからの時代を生き抜く上で、とても参考になります。ぜひ、読んでください」