リアルバラエティ番組『テラスハウス』(フジテレビ系)に出演し、キュートなルックスとグラマラスな肢体に加え、性格の良さで人気を博した筧美和子さん。

ブログへのコメントやTwitterのフォロワー数も大幅に増え、街で声をかけられることも多くなったという。グラビア雑誌のモデル、ファッション誌『JJ』(光文社)の専属モデル、さらに女優として多忙な日々を送ることに。

 

◆篠山紀信さんの撮影で写真集『ヴィーナス誕生』を発売

2013年5月に『テラスハウス』に登場し、同年10月には『めざましテレビ』(フジテレビ系)に木曜日リポーターとして出演することに。

−『めざましテレビ』には一般投票で約6万8000票も集めて選ばれたそうですね−

「はい。皆さんに選んでいただいたというのがうれしかったです。『テラスハウス』に出演していたので、皆さんが顔をおぼえてくださったおかげだと思います」

−リポーター業はいかがでした?−

「向いてないなぁって思いました(笑)。あの当時は、まだ何かをダイレクトに伝えるための引き出しをもってなさすぎて、本当に人形のような感じでした。緊張していましたね…」

−2014年には篠山紀信さん撮影で写真集『ヴィーナス誕生』(幻冬舎)も話題になりましたが、撮影はいかがでした?−

「自分がグラビアをやっていくなかであの写真集は、今までのなかでもまったく違ったアプローチだったので、あのときに感じたものは今も大事だなと思っています。篠山さんに撮られるなかで、お互い大事にした部分は、今も自分が何かを判断するときの大きなきっかけになっていると思います」

−撮影が篠山紀信さんだということで、萎縮したりすることは?−

「お会いしてみるとすごくチャーミングな方で、多分私が萎縮しないようにしてくださっていたのだと思います。そのとき私は20歳くらいでしたけど、今思うと『生意気だったかなぁ』と思うくらいフランクに接してくださいました。

篠山さんだからというのを感じさせないように、篠山さんがしてくださっていたと思うんですけど、すごくリラックスして撮影に臨めた感じはあります」

−だからこそあんなに自然な感じでとてもいい表情をされていたのでしょうね−

「ありがとうございます。うれしいです」

−2014年から19年まで5年間、ファッション誌『JJ』のモデルもされていました−

「『JJ』は小学生の頃から見ていましたし、お洋服もヘアアレンジなども好きだったので、いろいろチャレンジすることができてうれしかったです」

−モデルになりたいという思いは前からあったのですか−

「『テラスハウス』のときも正直に自分が何をしたいかわからないということを話していたんですけど、スカウトされて芸能界に入った当初は、自分が何をやりたいのか模索している最中でした。

多くの人は下積みの時期があったり、志して芽が出たところで見ていただく、知っていただくということが多いと思うんですけど、私はそうではなくて。

『テラスハウス』をみて、私がまだ何をしたいかわからなかったときを知っていて、それで応援してくれる人たちもいたので、いろんなことをやってみて、経験してみようと。そのなかでモデルをやりたいという思いもありました」

−グラビアからファッション誌のモデルにという方は?−

「珍しかったですね。グラビアとファッション誌は撮影の仕方が全然違うので。いろいろなファッション誌などを見て、ポーズや表情を研究しました。プロの方のお力もお借りして新しい自分に出会える連続でした」

 

◆女優業を続けることでコンプレックスが個性と思えるように

『JJ』の専属モデルになった頃は、ちょうど女優業をはじめた時期でもあった。グラマラスな肢体も彼女の魅力だが、胸が大きいこともコンプレックスだったそう。そのコンプレックスは女優業を続けていくうちに「個性」と思えるようになったという。

「お芝居に関しては、自分ができるとも思わなかったので、はじめの頃は怖がっていました。一つひとつ向き合っていくうちに、いつのまにかお芝居のことが知りたくなっていることに気づいていったという感じです」

−2016年には映画『闇金ウシジマくん Part3』(山口雅俊監督)に出演されていますね−

「あのときはすごくできなさを実感したという感じで、悔しかった記憶があります。オーディションだったんですけど、監督の期待に応えられていない…そういう思いが強かったです。

そのときにできることは精一杯やったつもりなんですけど、術(すべ)がなさすぎて自分のつたなさを思い知らされました。でも、それがすごく自分の中ではバネになったというか、何とか頑張ろうと思うようになりました」

2018年には映画『犬猿』(吉田恵輔監督)にメインキャストで出演。この作品が転機となったという。

※映画『犬猿』(吉田恵輔監督)
真面目な弟(窪田正孝)と強盗罪で服役していた乱暴者な兄(新井浩文)、家業の印刷工場を切り盛りするしっかり者だが、見た目がよくない姉(江上敬子)と、頭と要領は良くないが、容姿に恵まれ芸能活動もしている妹(筧美和子)。見た目も性格も正反対で相性の悪い2組の兄弟姉妹が抱えていた複雑な感情がついに爆発。兄弟姉妹の鬱憤(うっぷん)が爆発し、取っ組み合いの大ゲンカに発展することに…。

−いろいろおもしろい役にも挑戦されていますが、2018年に公開された映画『犬猿』の真子役が印象的でした−

「『なんで私に?』って不思議だったんですけど、当時すごく葛藤していたり、悩んでいる時期でもあって。グラビアモデルという設定とか自分と重なるところがある役だったので、今思うと監督はそういう風に思い描いてくれたのかなと思いましたけど、『こんなすごい方たちの中になんで私が?』という不思議な感じが大きかったです。

不安もありましたけど、そのときすでにお芝居に対しての興味がすごく湧いていたので、これは大きなチャンスだなと。吉田監督の作品も大好きだったので、思い切って飛び込んだという感じです」

−姉に対する嫌悪感から悪意ある言葉をぶつけたりもするけど、他人から姉のことを悪く言われると腹が立つという複雑な思い、演じるのが難しいですよね−

「あそこまでガッツリ一つの役と向き合うのははじめてでした。勉強が苦手とか、器用じゃないとか、自分と重なる点がたくさんありましたし。2歳上の姉にはできることが自分にはできないということも実際にあったので、共感するところはたくさんありました。

自分が思うありとあらゆる役作りというか、わりと気持ちの面が大きかったですけど、想像できることはできるだけ想像して、生活するなかでも役を重ねていました。はじめてどっぷりと撮影前に真子という役と生活をともにしたような、そういう取り組み方が自分的にははじめてだったので、すごく記憶に残っています」

−ニッチェの江上敬子さんとの取っ組み合いのケンカシーン、迫力がありました−

「あのシーンは監督に『ケンカしてくれ』と言われて『やるしかないな』って(笑)。髪の毛をひっぱったり…フリーな感じではじまりました」

−ご自身が考えていた演技プランは監督の方向性と合っていました?−

「リハーサルをしたときに、監督はちょっと心配になったみたいです(笑)。共演者の役者さんたちのお芝居を目の当たりにして、自分の力不足を痛感しました。

そのときにいろいろお話を聞かせてもらったりして、そこから役に対しての考えが変わっていきました。

当時は私自身も真子のように必死で、すごく葛藤していた時期だったので、真子と自分を重ねて演じている部分がありました。だから真子がつらいシーンは、結構ダイレクトにつらくなったり。

そういう意味ではつらさはあったんですけど、全体を通すとあの作品がすごく楽しかったし、いろんなものをもらったので、私的には大きなきっかけになりました」

−真子はそれまでの筧さんのイメージとは違っていて驚きました−

「ありがとうございます。そうだと良いんですけど(笑)。昔の私はコンプレックスのかたまりだったんです。外見に関しても内面に関しても自信がなかったと思います。でも、こうして役と向き合っているとそういうコンプレックスや経験も個性なんだと思えるようになりました」

誰もがうらやむようなルックスとプロポーションがコンプレックスだったというのは驚きだ。『犬猿』が転機となった筧さんは、ドラマ『あなたの番です』(日本テレビ系)、映画『孤狼の血 LEVEL2』(白石和彌監督)などドラマ、映画でさまざま役柄に挑戦することに。

次回後編では、撮影エピソード、11月26日(金)に公開される映画『幕が下りたら会いましょう』の撮影裏話も紹介。(津島令子)

ヘアメイク:白水真佑子
スタイリスト:小松千鶴