2017年11月1日(水)から2018年1月8日(月・祝)まで、六本木・森アーツセンターギャラリーにて開催される「THE ドラえもん展 TOKYO 2017」。

先日、都内で本展の参加アーティストの選定や企画・監修を手掛ける美術史家・山下裕二(明治学院大学教授)と、参加アーティストのしりあがり寿、西尾康之が登壇するクロストークイベントが行われた。

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◆奈良美智と増田セバスチャンの参加も発表!

本展には、28組のアーティストが参加。現在、国内・海外で活躍する現代アーティスト26組の参加が既に決定しており、2002年に開催された「THEドラえもん展」にも出展した蜷川実花、福田美蘭、村上隆、森村泰昌(今回はコイケジュンコと共同制作)のほか、会田誠、梅佳代、小谷元彦、鴻池朋子、佐藤雅晴、しりあがり寿、西尾康之、町田久美、Mr.、山口晃、渡邊希。さらに、クワクボリョウタ、後藤映則、近藤智美、坂本友由、シシヤマザキ、篠原愛、中里勇太、中塚翠涛、山口英紀+伊藤航、山本竜基、れなれななど、26組のアーティストの参加が決定。

同イベントでは残る2組のアーティストとして、新たに奈良美智と増田セバスチャンの参加が発表された。

 

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本展に出品する2メートルを超える巨大な作品を制作中で「人生で最初に衝撃を受けたまんが」とドラえもんについて語る増田は、ビデオレターのなかで「(ドラえもんっていう言葉を聞いて)誘ってくれなきゃ困るっていう感じです。(笑)他のアーティストが(ドラえもん展に)誘われているのを見ていて羨ましくて…。はやくそういう話がこないかなと思っていました」と本展への参加を待ち望んでいたことを明かした。

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「学校でドラえもんを書くのが一番上手い人っているじゃないですか。そのひとりでした(笑)」という増田は、本展に出品する作品のコンセプトについて「もし、この時代にドラえもんがいたら? もし、いなかったら? ということを考えて作りました」とコメントした。

 

◆村上隆「最後にたどり着いたのは、藤子先生だった」

Photo:Chika Okazumi

また、本展に参加するアーティストのひとりである村上隆の出展作品も披露され、本人からビデオメッセージも届いた。

©2017 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.©Fujiko-Pro

同イベントで発表された村上隆の作品は縦3メートル・横6メートルの大迫力の超大作で本展を象徴するような作品。

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「まんがを芸術だと思っている」という村上は、ビデオレターのなかで本作について「何が『ドラえもん』のなかで一番大事な世界なのだろうか?というのを捕まえるのが大変だった」と制作の裏話を語る。

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そして、その答えを村上は「最後にたどり着いたのは、藤子(・F・不二雄)先生だった」と明かす。

続けて「多分(藤子先生)本人を作品に入れてくる他のアーティストはいないだろうと思った。なぜなら、テーマは『ドラえもん』と言われているから。藤子先生を作品に入れたときに、オリジナルの強みが出てきた。そこで自分のキャラクターを前面に出しても、先生の世界を壊さずに済むと思った。そこまで辿りつくのに随分かかった」と自身の作品のポイントを解説。

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また、作品の中央に配置されているドラえもんのひみつ道具「どこでもドア」には、金箔がはられる予定で、その意図と本作の見どころを村上は以下のように説明している。

「テーマの中心には『どこでもドア』があり、そのテーマは虚空=異次元。異次元が金箔によって遮断されることで、観客が思いを巡らすことを拒絶しようとしている。

現代美術とまんがの“文法”をどうしたら近接させられるか?というのがこの作品の見どころ。

まんがとドラえもんが、いかに偉大かというのを別のジャンルの人間がどうやって読み解くかというのが今回のお題。なので、最終的にはドラえもんの世界観が素晴らしいものだということが伝わればいいなと思います」

◆ドラえもんを描くサプライズも

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イベントの後半では、本展の参加アーティストの選定などを手掛ける美術史家・山下裕二が司会となり、しりあがり寿、西尾康之とともにクロストークが行われ、ドラえもんに関するそれぞれの思い出や作品のコンセプトなどが語られた。

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参加アーティストの増田セバスチャンに似ていると言われることがあるという、しりあがり寿は本展について「今回の展覧会は、みんなで富士山を書くようなものだと思っている。今の“日本の風景”は何かってよく考えたら“まんが”なんです。それをみんなで描くというのはとても自然なことだと思うし、今やるべきことだと思う。それに参加できるのは、すごく嬉しい」とコメント。

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また、「小学校1年生のころにドラえもんと出会い、影響を受けまくった」という西尾は、“ドラえもん原体験”について以下のように語っている。

「当時は(ドラえもんの他に)いろんなまんががたくさんあって、楳図かずおさんの『漂流教室』もそのひとつ。同作のラストあたりにロボットが出てくるんですけど、それはロボットの本質を突いたような恐ろしげなものでした。ほかにもロボットについて、いろいろなテーマのまんががたくさんあって、僕も生活のなかで“ロボットとは?”と考えるような小学生でした。

ドラえもんはロボットとして見ていたのですが、このロボットいうのが曲者でして。

ロボットはモノですから。のび太を親友として扱っているが、それはプログラムなのか?でも表情をみていると友人として愛でているんです…。そのあたりの葛藤のなかで、ドラえもんをみていました」

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そして、トークの話題が今回出品する作品について移ると、しりあがり寿は「アニメを作ろうと思っています」と切り出し、「ドラえもんという作品を大手を振っていじってもいい機会なんてまずない。さらに素材まで提供してくれるなんて、すごいチャンス。作品では、今この社会がドラえもんに求めているものはなんだろう?あのポケットから出して欲しいものはなんだろう?というものをアニメーションにしたい」と作品のコンセプトを明らかにした。

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一方、「ドラえもんの作品を作れるというのは、稀有な体験」と語る西尾は、出展作品について「ドラえもんって僕にとっては、人間なのかモノなのかわからない存在。まんがを読んでいると、そこにいるような感じがするし、いなくなると喪失感がある。 そういう“儚いもの”として、立体物にプロジェクションマッピングの映像を投影して、電気が消えるといなくなる。そんな作品になる予定です」と作品について語った。

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さらに、クロストークの後半ではしりあがり寿と西尾がサプライズでドラえもんをスケッチブックに描く企画も。サラサラと迷いなく筆を進めていくしりあがり寿とは対照的に、いろいろ考えながらゆっくりと筆を進める西尾。

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しりあがり寿が書きあげたドラえもん。「のび太用意はいいか…」という普段ドラえもんが言いそうにないセリフとワイルドなルックスが印象的だ。

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そして、「ドラえもんの好きな表情があって」という西尾が描いたのは、この表情。

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西尾はもうひとつ、ドラえもんが思いを寄せる白猫に近づくときに見せる“いやらしい表情”も書き上げた。

この表情を描くのにはアーティストの西尾も手を焼いたようで、書き上げた後に思わず「難しい」と一言漏らした。シンプルなドラえもんを描くゆえの“難しさ”が伝わる場面だった。