2030年までに、持続可能でよりよい世界を目指す国際目標「SDGs」。

テレビ朝日の番組『しあわせのたね。』では、さまざまな課題に取り組み、くらしを未来へ紡ぐ“はじめの一歩”を実践する人たちを紹介している。

今回取り上げるのは、東京・荒川の福祉施設の一角で「おもちゃの病院」を開いている粂谷誠さん。

粂谷さん:「このおもちゃ病院では、大事な家族であるおもちゃの触診・診察をして、治療方針を決めて、修理に取り掛かります」

もともと趣味でラジオを作ったり、電子工作をすることが好きだった粂谷さんは、50歳のときに講習会を受け、この活動をはじめた。

これまでに直してきたおもちゃはおよそ1万5400体。修理に必要な部品が手元にない場合は、自ら手作りすることもあるという。

治療にやって来た客は、「二度と使えないと思っていたおもちゃがまた動くのは非常にありがたい」と喜ぶ。

◆「この子は家族なので」

粂谷さんには、この活動をはじめてから心に残っている出来事がある。

粂谷さん:「ぬいぐるみを修理しているとき、お客様がそばを離れずじっと修理状況を見ていました。話を聞くと『この子は家族なので心配で心配で仕方ない』と。そのお客様は直ったぬいぐるみを大切に抱えて帰られました」

我が子のようにおもちゃを扱う客に、おもちゃは「大事な家族」と実感した粂谷さん。「最近のぬいぐるみは人間と同じように反応するので思い入れが強く、家族の命を預かっている気持ちで修理しています」と話す。

今どきのおもちゃの修理にも対応できるように、日ごろから店に足を運んで、最新のおもちゃの情報もアップデート・研究している。そんな粂谷さんが未来に叶えたい夢は?

粂谷さん:「(遊んだおもちゃには)大きくなっても、やっぱり子どもの頃の思い出がある。においや汚れが付いていると思うので、その辺を大事にして修理して使う。そういう仕組みを社会に根付かせていけたらいいなと思いますね」

なお、次回5月20日(土)放送の『しあわせのたね。』は、自動車解体時に回収したシートベルトやエアバッグでバッグを製作している人を特集する。