PRESIDENT 2016年7月4日号 掲載

定年後に再雇用されると、いままでとは役職も立場も変わってくる。では、どう振る舞ったらいいのか。

■60歳定年を迎えて8割以上の人が再雇用を希望

大企業に勤めている人の場合、定年は60歳というのが一般的だった。しかし、2013年4月からは、本人が希望すれば、企業は65歳まで社員を雇用することが義務付けられた。

厚生労働省の調査によれば、14年6月〜15年5月に60歳で定年となった会社員のうち、82.1%が企業に再雇用されている(図参照)。なお、本人が希望したにもかかわらず、再雇用されなかった人が0.2%いる。これは背任・横領といった「解雇退職事由」に該当するものの、定年まで雇ってもらったケースと考えられている。

とはいえ、再雇用された人のほとんどが、仕事内容も収入もガラリと変わる。企業の多くは、労働条件を変更して「再雇用」という形で、定年退職した社員と雇用契約を結び直すからだ。「管理職だった人も、定年前と同じ役職ということはまずありません」と、経営コンサルタントの高城幸司さんは言い切る。そうした影響ですでに職場では、60歳以上の平社員を含めた「年上部下」が急増。産業能率大学の「上場企業の課長に関する実態調査」によると、年上部下がいる人はすでに48.8%にも達している。この割合は今後も上昇していくだろう。

管理職にとって“先輩社員”でもある年上部下は何かと扱いづらい存在だ。とりわけ、年上部下がかつての自分の指導係や上司だった場合なら、なおさらだ。人材開発コンサルタントの門脇竜一さんは「管理職向けの研修では必ずといっていいほど、受講者から年上部下に関する悩みを相談されます」と明かす。そこで門脇さんに“年上部下のあるあるトラブル”を紹介してもらった。

困った年上部下の典型例が「面従腹背タイプ」。管理職に対して、うわべでは「わかりました」と言っていても、老獪な手練手管を弄し、実際には指示どおりに動かない。それだけならまだしも、なかには管理職の足を引っ張ってしまう人たちもいるので厄介だ。

「若手社員を飲みに連れていき、『課長は当てにならん』『オレならこうするけどな』などと吹き込みます。本人に悪気があるとは限らないのですが、若手社員にとっては年上部下も大先輩ですから、影響されて管理職の言うことを聞かなくなってしまう。そうやって、チームの足並みを乱していくのです。陰で“負のリーダーシップ”を発揮するわけですね」(門脇さん)