プレジデント ウーマン 2017年1月号 掲載

「日々の節約は得意でも、10万円、100万円という大きな単位のお金の損得には自信がない……」。そう思っている女性も多いのでは? 経済コラムニスト・大江英樹さんがその「誤解」を解き明かします!

女の人は大きなお金のことを考えられない、だなんて、とんでもありません。証券会社で25年にわたってお金にまつわる仕事をした経験から、また、行動経済学的な観点から、それは大きな誤解、偏見だと思います。

■男性はロマンチスト、女性はリアリスト

まず一般的な傾向として、男性はロマンチストで感情的、女性はリアリストで論理的。数字を扱う計数処理に向くのは本来、女性です。

海外旅行に行ったある夫婦の話です。夫が象牙の置物を買おうとして、ある店員に5万円とふっかけられました。大阪出身の夫は「ナニワ商人をなめたらあかんで。5万円なら5分の1が相場だろう」と1万円に値切って、得意げに妻に見せました。妻は「同じものを売っているお店を何軒か見たわ。値札は3000円から1万円くらい。実際は1000円がいいところね」と、同じものを1500円で買っていたのです。

恥ずかしながらこの夫とは私なのですが(笑)、失敗の原因はもの自体の価値ではなく、最初に示された5万円をもとに買値を考えてしまったことがひとつ。行動経済学ではこれをアンカリング効果といいます。妻は元の価格ではなく、もの自体の価値から1000円だと考えたのです。女性のほうがアンカリングに左右されない傾向があります。

2つ目の敗因は、価格調査不足。妻は何軒か見比べていました。このように女性にはものの真価を見抜く眼力があり、買う前に比較検討する習慣がある人が多く、お金を扱うのに適しています。

さらに、女性は集中しすぎて周りが見えなくなったりせず、複数のことに同時に注意を向けるのが得意です。これはセレクティブ・アテンション・テストという認知心理学の実験でも実証されています。たとえば、「オレだよ、事故に遭ってお金が要るからすぐ振り込んで」と電話があっても、“事故で大変”という情報と“声色があやしい”という情報を同時に考えられるので、女性のほうが詐欺に遭いにくいようです。