プレジデント ウーマン 2017年8月号 掲載

世界の頂点を極める。これほどの結果を出すには並々ならぬ努力と、研ぎ澄まされた集中力が求められるはず。一瞬の判断が勝敗を決める格闘技はなおさらだ。霊長類最強女子と呼ばれる吉田さんに話を聞いた。

■マットに上がったら本能で戦う

レスリングの競技時間はたった3分。マットに上がった瞬間から戦いが始まるので、考える時間はまったくありません。

試合前は、今までやってきた成果を出せるかなとか、負けたらどうしようとか、いろいろと考えて緊張しますが、マットの上に立った瞬間、不思議と緊張が吹き飛んでしまう。試合中は本能で戦っていますね。頭で考えるというより「今だ」と思って勝手に体が動く感じです。3歳からずっとレスリングに打ち込んできたので、動きが体に染み付いているのでしょう。相手の出方によって自然と動きが出てくるんです。

本番で最大の力を出すためには日頃の練習はもちろんですが、イメージトレーニングも大切。私の場合、対戦相手が決まったらすぐにその選手についてリサーチをして、過去に対戦したことのある相手ならば、得意技はこれで、こういう技をかけてくるだろうと、ある程度イメージします。一方、初めて対戦する選手の場合、試合の映像を見たりして情報収集しますが、最後は“やるしかない”と覚悟を決める。あとはタックルするための勇気も必要です。

もともとオン・オフの切り替えが得意で、練習や試合が始まったらパッと集中して、終わったらすぐにオフできるんです。これは幼い頃からの習慣が大きく影響しているんじゃないかな。監督でもあった父がすごく怖くて、ふざけたり話を聞いていなかったりすると怒られたんです。ですから当然、道場に入ったらパッと集中しなければならない。それが身に付いているのだと思います。