PRESIDENT 2016年4月4日号 掲載

■相手の感情の動きを見逃さなくなった

28年間、毎日瞑想をしています。タイミングは朝起きてすぐと夕方の2回。それぞれ20分ずつ。食事をとる前にやっています。やり方としては椅子に寄りかかり、目を閉じて、体の力を抜きます。そして、長くゆっくり息を吸って、ゆっくり吐いていく。深呼吸を繰り返していくのです。

瞑想をする場所は、朝は自宅で、夕方はオフィスが多い。オフィスで瞑想する姿をはじめて見る社員は「会長が居眠りしている」と思っているかもしれませんが。夕方の瞑想は時間が取れないときもあり、オフィス以外でも椅子があればトライしています。いまでは移動中の新幹線や飛行機の中、ホテルのロビーなどでも瞑想することができるようになりました。

私と瞑想の出合いは20代半ば。日産自動車に勤務していたころです。当時、北陸の自動車販売会社に出向して営業マンをやっていました。あるとき、取引先の方から「今度こんな講座があるから行ってみたら」と瞑想のセミナーに誘われたのがきっかけでした。昔から好奇心旺盛で、面白そうなことにはとりあえず何でも手を出すタイプなので、とりあえずいってみたのです。

セミナーの内容は4日間で、Transcendental Meditation、日本語では「超越瞑想」。瞑想や座禅というと、一般的には「無の境地になれ」といわれますが、インストラクターが教えてくれたのは、頭の中にある考えを追い払おうとしたりはせず、いろいろなことを考えていいというやり方でした。これならできそうだとすぐにやってみました。

はじめてみるとすぐに3つの大きな効果を感じることができました。

1つは自分の周りで起こっていることに敏感になれたということです。

当時を思い出すと印象的だったのは営業の成約率が上がっていったことです。それまでは「今日は勝負だ」と気合を入れれば入れるほど商談が決まらないということがよくありましたが、そんなケースが目に見えて減っていきました。自分なりに分析すると、相手の感情の動きとか、変化のサインを見逃さなくなったように思います。相手が「今日は決めようかな」という気分になるまで待てるようになり、購入のタイミングも逃さなくなりました。そのおかげもあって、販売会社でトップの成績を何度もとることができました。

その後は本社で営業・マーケティングの教育部門や、新型車の販売促進を担当しました。営業マンとしての実績が、その後のキャリアにつながったのです。

2つ目は頭の中を整理できること。瞑想中はいろんなことを考えています。

「明日のプレゼンはどんな入り方をしよう」といったビジネスの話から、「晩ごはんに何を食べようか」「明日はどのスーツを着ていこうか」などさまざまな雑念が飛び交います。「しまった。あの資料を作らなければいけない」とか「朝一でリサーチのリクエストをかけなきゃ」と冷静になって思い出すこともある。瞑想が終わったときに「To Doリスト」が頭の中にでき上がっていることもあります。ときには、瞑想中に出てきた思いつきが進行中の仕事にブレイクスルーをもたらすこともあります。大事なプレゼンの前なども瞑想によって頭の中を整理することで、平常心を保て、本番もあがることがなくなりました。