PRESIDENT Online 掲載

8月8日、民進党の細野豪志衆院議員が、民進党に離党届を提出した。旗を立てなければ人は集まらない。細野氏は離党の理由について、「政権交代可能な政党を作る」と話している。だが現時点での同調者はゼロ。民進党は分裂するかもしれないが、そのとき野党勢力の中心になるのは、細野氏ではなさそうだ――。

■「共産党との共闘」を批判するが…

8月8日、民進党の細野豪志衆院議員が、民進党に離党届を提出した。閣僚も経験した大物議員だが、党内からは冷ややかな目でみられていると聞く。なんといっても、細野氏に同調して離党する議員がゼロというのが大きい。自身の派閥である「自誓会」には約10人の国会議員がいるはずだが、ともに離党するという議員はいなかった。

なぜ細野氏は離党するのか。細野氏本人は、憲法改正や安保法制への対応、そして「政権交代可能な政党を作る」などと説明している。先に離党している長島昭久衆院議員も同様の理由を挙げていた。細野氏も長島氏も民進党内では右派の政治家として知られている。民進党は共産党との共闘を党方針として進めており、右派である長島氏や細野氏は党内にとどまることを受け入れられない、という受け止めが一般的なようだ。

しかし、そうした理由は苦し紛れのものだろう。なんと言っても今回の離党は同調者が今のところゼロなのだ。仮に自誓会から数人が追随したとしても、小政党にしかならない。政権政党には程遠いだろう。あるいは細野氏に追随しやすくするための「打ち上げ花火」という理解もできるかもしれない。旗を立てなければ人は集まらないのだから、派手に打ち上げるというのは永田町ではよくある話だ。さて、最終的に何人の同調者が出るだろうか。大規模な政界再編が起きて、その中核になる、という話であればまだ理解できるが、現在はそういう状況ではない。

■「決められない男」と揶揄も

では、なぜこの時期なのか。これは細野氏が説明するとおり、「代表選前に」ということが大きいのだろう。代表選を経てからの離党では、新代表への不満から離党したという話になってしまい、それでは何か不満があればすぐ離党してしまう人物のように見えてしまう。一方で、仮に細野氏の支持する候補が代表になれば、退路を断たれてしまうことになる。自らが立候補すれば、「敗れて離党」という筋道も立てられるが、そこまで徹底するのはリスクが大きすぎると考えたのだろう。

細野氏については離党の機会はこれまでもあったように思う。ひとつは代表代行を辞任したタイミング。蓮舫執行部に反旗を翻しての辞任であり、その勢いで離党することも可能だったのに、そうしなかった。もうひとつは、静岡県知事選への出馬が取り沙汰されたタイミングだ。細野氏が離党し、自民党からの推薦を受けて出馬すれば勝てる、との下馬評もあったが、結局決められずに出馬を逃した。

こうした経緯をふまえて、細野氏は一部から「決められない男」と揶揄されている。そんな細野氏が、ついに決断した。否、決断せざるをえなくなったということなのだろう。