PRESIDENT 2017年3月6日号 掲載

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Q.結局泣きをみるのは妻、「いっそ養子にして相続人に」はどうか?

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年老いた親の世話を誰がするのか――。相続という観点からもこれは大きな問題です。なぜなら、親の世話や介護は原則、相続財産の多寡に反映されないからです。いまだに長男の嫁が義理の父母の世話をするケースが少なくありませんが、嫁は法定相続人ではありません。どんなに献身的に面倒を見ても、何も受け取る権利がないのです。

そんな嫁の労に報いる方法の1つが養子縁組です。養子になれば、法定相続人となり実子と同等の財産を受け継ぐことができます。手続きは簡単で、住所地の自治体に書類を1枚提出するだけ。デメリットはほとんどありません。養子になっても実の親との関係は変わらず、戸籍謄本の「父・母」の横に「養父・養母」が加わるだけです。

問題は、ほかのきょうだいとの関係です。長男の嫁が養子になれば、1人当たりの法定相続分が減少します。仮に相続人が母親と長男、次男の3人であれば、法定相続分は母親が2分の1、子どもは4分の1ずつです。ところが、長男の嫁が養子になると、子どもの法定相続分は、6分の1ずつになってしまいます。次男にしてみればおもしろいはずはなく、その気持ちがトラブルの火種になります。たとえ次男が納得しても、その妻が黙っていません。「長男の嫁」対「次男の嫁」となり、余計こじれます。

遺言で嫁に財産を残す方法もありますが、実際に遺言を残す人は1割程度。現実的とは言えません。また、親が亡くなってから遺言で突然、長男の嫁に財産の一部が移ることを知れば、これもトラブルのもとになります。