■室温は20〜25℃がいい

人の体温には、脳を含めた臓器の温かさを表す「深部体温」と、わきの下などで測定できる「皮膚体温」があります。眠りにつくときには、体内の熱を皮膚から放散するため、深部体温は下がって皮膚体温は上がります。つまり室内が暖かいままでは、深部体温が下がらず眠りにつきにくいのです。

近年は夏の気温が著しく上昇し、熱帯夜も増えています。節電も大切ですが、快眠による健康はそれ以上に大切。暑い日は必ずエアコンを使い、室温を下げましょう。アメリカの高齢者3000人以上を対象に、室温と睡眠の関係を調べた大規模調査では、総睡眠時間と睡眠効率にすぐれているのは20〜25℃前後とわかっています(図表5参照)。

冬の室温管理も重要です。日本の住宅は断熱性能が低く、寝室の室温も諸外国よりかなり低いのです。調査によると、沖縄・北海道を除く全都道府県の寝室室温は14.4℃未満。WHO推奨の最低室温は18℃、欧州では20℃ですから、かなり低い室温です。

そこで日本の住宅環境の実態をふまえ、寝室の寒さと睡眠の質を調べた研究もあります(Chimed-Ochir O et al.,2021)。その結果、寝室で寒さを感じることがある人は、ピッツバーグ睡眠質問票のスコアがあきらかに高く、よく眠れていない傾向に。地域差も大きくありますが、寒い地域では住宅改修まで含めた対策が必要といえます。

同時に、乾燥も睡眠の妨げとなります。湿度50 %前後を目標に、加湿器を使ってうるおいを保ちましょう。

■「冬のもこもこソックス」で眠りの質が高まる

寒さ対策として、冬のもこもこソックスも人気です。かつての睡眠科学では、「皮膚体温を上げると、深部体温からの放熱が妨げられるからダメ」とされていましたが、これは過去の常識。韓国の新しい研究では、冬にベッドソックスを使用した人のほうが、入眠潜時(せんじ)が平均7.5分も短く、眠りの質も高いとわかっています(図表6参照)。

この実験のポイントは、末梢(足)の皮膚体温を上げても、深部体温には影響がなかったこと。これは、足が冷えて寝つけない人にとって朗報です。冷えがつらいときは、ベッドソックスを履いて寝るといいでしょう。ただし慢性的な冷えに悩む人には、根本的な改善策も必要。筋肉が少ないと、体内で熱を産生し、維持することができません。日常的な運動で筋肉量を増やしましょう。