夏休みに入り、企業が子ども向けに実施する職場体験イベントが相次いでいる。職業体験型テーマパークなどが注目を集める中、開催を増やしたり、より本格的な内容に拡充したりする動きが目立つ。自社の業務に理解を深めてもらうだけでなく、将来の人材獲得につなげる狙いもあるようだ。

 日銀福岡支店(福岡市)で7月24〜26日に開かれた「にちぎんサマースクール」。紙幣の数え方のこつや偽造防止技術といった説明に子どもたちが聞き入り、1億円分の模擬紙幣を抱える体験もあった。サマースクールは2006年に始まり、今年は55組の親子が参加。担当者は「分かりにくいイメージもある日銀の業務への理解を深めてもらう機会になっている」と話した。

 西日本鉄道グループは「にしてつキッズしごと体験スクール」と題し、夏休み中に43もの体験プログラムを用意した。スクールは08年に開始し、反響の高まりとともに実施数や内容を拡充。さまざまな事業を展開する強みを生かし、シミュレーターを使った電車の運転や水族館での餌やり、マンションの受け付け業務などが体験できる。

 百貨店の体験も人気だ。山形屋(鹿児島市)が7月29、30日に開いた売り場での販売体験イベント「こどもデパート」は、今年も小学生120人の定員がいっぱいに。11年から職場体験を実施している博多阪急(福岡市)は近年、売り場以外の体験を拡充。今年は開店前の朝礼や準備に始まり、店内放送や警備、清掃などを1日かけて体験する。

 東京と兵庫県にある職業体験型テーマパーク「キッザニア」にちなみ、福岡三越(福岡市)は「ミツザニア」と題した食品売り場での体験イベントを企画した。鮮魚コーナーでは旬の魚や調理法について講習を受けてから試食販売に臨む。担当者は「より本格的な世界を体験し、将来仕事を選ぶきっかけになれば」と期待する。

 高校生を対象に毎年夏に職場体験プログラムを実施するふくおかフィナンシャルグループ(FFG)=福岡市=では、参加した生徒が採用試験を受け、内定に至った例もあるという。社会貢献活動として続ける取り組みだが、将来の人材確保につながる効果が出始めている。

 親の職場を子どもが見学する「子ども参観日」もさまざまな企業が実施。福岡市などが事業所に呼び掛けており、今年は昨年より5社多い27社が実施するという。10年度から取り組みを始めた西部ガス(福岡市)では7月28日、子ども11人が親の職場を訪れ、上司や同僚と名刺交換したり、親の仕事を体験したりした。社員が仕事と家庭を両立できる支援に力を入れており、女性社員の子どもの参加も多い。「上司や同僚が子どもの顔を見ることで、子育てする社員への配慮がより深まった」(広報担当)と手応えを感じている。