一昨年、26歳の男性医師が時間外労働などが原因により自らの命を絶ったことに対して、昨年8月に労災が認められたという出来事がありました。 亡くなる直前、1か月の時間外労働が200時間を超えていたこともわかっています。 1月31日放送『多田しげおの気分爽快!!〜朝からP•O•N』(CBCラジオ)では、長年にわたり医療問題を取材してきた、CBC論説室の後藤克幸特別解説委員が、医師の過労問題について解説しました。

     

勤務時間が長くなる理由

医師の勤務時間が長くなってしまう理由としては、一般の業界と比べて勤務体系が特殊なことが挙げられます。

例えば患者の診察だけではなく、治療や入院の説明をすることも医師の仕事であり、診断書の作成や宿直勤務、宿直でなくても夜間に緊急の呼び出しに駆けつけなければならない、宿直の翌日にもそのまま日勤の仕事を続けるなど、勤務時間が長くなってしまう要因が多く含まれています。

そのため、医師が精神障害となる事案が増加してしまい、自殺へとつながってしまうケースもありますが、大学卒業後に着任する研修医に多いといわれています。

後藤委員によると、研修医は過酷な状況に置かれやすいそうで、研修医の立場は、正式な医師としてやっていくうえで必要な専門的知識や技能を学ぶことと、患者の診療にあたることの両面、つまり、勉強と労働の両方を並行して行う、ふたつの時間の線引きがあいまいといった実情があるそうです。

さらに研修医は夜間や休日の救急診療を担当する機会も多いため、過剰労働の温床になっているといわれています。

労働時間の上限を設定

医師の過剰労働は大きな社会問題ですが、何か対策は打たれているのでしょうか?

実は今年4月から医療法が改正され、すべての医師に時間外労働の上限が定められます。

年間960時間、月平均にすると80時間が上限で、これは一般業界の過労死ラインと呼ばれている労働時間以下にするのが目的です。

ただ、救急医療など緊急性の高い医療に携わる医師と、短期間で集中的に高い技能を獲得するため経験を積む必要がある、いわゆる研修医に関しては、倍近い1,860時間が年間上限とされているため、すぐに改善されるわけではなさそうです。

医師の労働時間を減らすには

ただ単に労働時間の上限を設けるだけでは改善するのは難しく、そもそも医師の働き方自体を変えなければいけないのかもしれません。

後藤「時代の流れの中で悲しい犠牲を増やさないためにも、医師に集中している仕事をある程度看護師さんや薬剤師さん、事務職員さんに分散していこうというタスクシェアという考え方が、これから推進されていく。

医師の指示がないとできないことが多いんですが、外国では例えば禁煙外来や糖尿病の指導などは町の薬剤師さんの仕事になっていたり、専門的な教育を受けた看護師さんは、病院の中で処方する権利や検査する権利を与えられて、医師に近い仕事を担って医師の仕事を軽減する形も出ているんですね」

医師の役割が法律で厳格に規定されているようですが、チームで医療を行い、医師以外の人にも任せるという意識が必要なようです。
(岡本)