CBCラジオ『北野誠のズバリ』で木曜に放送されているのが、「山内彩加のあや☆カルチャー」。 山内アナウンサーが最近気になっているというマンガや小説、音楽、映画など、さまざまなサブカルチャーの作品を紹介しています。 3月21日の放送で紹介したのは、石田夏穂さんの小説『黄金比の縁』(集英社)。 就活小説とのことですが、単に学生の就活体験を描いたというものではなく、一風変わった内容だそうです。

     

朝井リョウさんが推薦

山内がこの本を知ったきっかけは先週、愛知県瑞穂市で開催されたイベントに参加したこと。

『北野誠のズバリ』のパーソナリティーでもある大橋麻美子が司会を務め、『桐島、部活やめるってよ』(集英社)などでも知られる直木賞作家の朝井リョウさんが出演するトークショーが開催されました。

朝井さんが最近読んで面白かった本や、中学生の時にハマっていた本を紹介し、それによってこどもたちにも本を好きになって欲しいというのが、イベントのテーマでした。

その中で紹介された本のひとつが、冒頭の『黄金比の縁』でした。

大まかなあらすじですが、花形の部署に配属された女性が不当な人事により、いきなり人事部に異動させられたことから始まります。

その女性は「なんで人事部に異動させられなきゃいけないんだ」と会社に怒りを覚え、復讐を試みます。

就活+復讐という斬新な設定

その復讐の中身ですが、会社人事を私物化して、すぐ辞めそうな新人を採用すること。

遠回りな復讐のように見えますが、朝井さんは「こんな設定はなかなかない、面白くて大笑いした」と絶賛されています。

山内も購入して読んでみたところ、面白いだけではなく、最後のあたりはミステリーにもなっていて、前半と後半の印象がかなり変わるとの感想でした。

ここで山内がこの作品の魅力を3つ挙げました。

まず1つ目は、設定が新しいこと。
就活をテーマにした小説はこれまでにもありました。
学生同士が蹴落とし合うという『六人の嘘つきな大学生』(KADOKAWA)は、この秋に映画化されます。

ただ、会社への復習が絡むのは珍しく、人事はどのような仕事をしているのか、細かくわかりやすく描かれているのも面白い点です。
主人公はどのような人が会社をすぐ辞めるのか、過去の退職者データから研究した結果、ある共通の特徴にたどり着きます。

就活の参考にも

その特徴とは、顔の黄金比が整っていること。
目が一重や二重などは関係なく、顔のパーツがある一定の比率で並んでいることなのです。

まず顔の縦の長さについて、髪の生え際から眉間、眉間から鼻の先、鼻の先からあごの下と、それぞれの長さが等しいこと。
横の長さは左のこめかみから左の目尻、左の目尻から目頭、左の目頭から右の目頭、右の目頭から目尻、右の目尻から右のこめかみと、それぞれの長さが等しいこと。

そのような学生を採用すると、不思議なことにどんどんすぐ辞めてしまうのだそうです。

2つ目の魅力は、リアルな就活事情が垣間見えるということ。
エントリーシートのどこを見ているのか、面接官は面接でどこを見ているのか、かなり詳しく書かれているため、就活生ももしかしたら参考になるかもしれません。

そして3つ目の魅力は、後半になってミステリー要素が加速していくということ。
ただ就活に参考になるというだけではなく、どんどん主人公の思うような人を採用していくと、やがて会社が隠しがっていた大きな秘密を知ることに…。

ページ数のボリュームも多過ぎず、一気に読める作品とのことです。
(岡本)