12月14日、ゼビオグループが「オンライン接客」と「VR(Virtual Reality)」という2つのテクノロジーで、卓球用品売場の改革を進めることを発表した。

その先進的な取り組みについて、本特集「進む!卓球のDX化」で徹底解剖する。

今回は、注目のVR技術がビジネスの現場でどう使われるのか。その実体に迫った。

Facebookが注力するメタバースの世界

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写真:VR卓球の世界。ゴーグルをつけてラケットをスイングすると卓球が楽しめる。/提供:ゼビオグループ
GAFAの一角であるFacebookが社名を「Meta」に変更したことをきっかけに、「メタバース」が大きな注目を集めている。

メタバース(metaverse)とは、コンピューターの中に構築された現実世界とは異なる仮想空間やそのサービスのことだ。

最近ではVRゴーグルをかけることで、仮想空間内でゲームを楽しんだり、英会話レッスンを受けるなど、その利用法が多岐に渡っている。

そんな中、VR空間内でスポーツができるアプリケーションを開発し、スポーツ用品売場での活用をスタートしたのがスポーツ小売大手のゼビオグループだ。

未来の卓球はオンラインで対戦? VR卓球とは

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写真:VR卓球アプリではサーブ練習に加え、ワンコースの基本打法からランダムのフットワークまで、本格的な卓球トレーニングが楽しめる/提供:ゼビオグループ

これまでエンタメの世界で主に使われてきたVRは、スポーツ用品販売の現場でどのように活用できるのか。

ゼビオでは、VR空間内で卓球を体験できる独自アプリを開発し、売り場(※)にVRゴーグル(Oculus Quest2)を設置して来店客がVR卓球を楽しめるようにした。(※現在は御茶ノ水本店と東大阪菱江店の2店舗で試験導入中。)

来店客は、ゴーグルを装着したその瞬間から現実空間が見えなくなり、宇宙船の中に移動したような感覚になる。

両手に装着したコントローラーを自然に操作することで、ボールをトスしたり、ラケットをスイングしたりと現実世界の卓球と同じ動きをVR空間内で実現できる。卓球マシンを相手に本格的なトレーニング(多球練習)を行ったり、サーブ練習モードで回転やコースの変化を楽しんだりする機能が搭載されているのだ。

ボールの回転量やスピード、軌道に加え、ラケットのどこにボールがインパクトしたか、卓球台のどこにボールがバウンドしたかなど、全てのデータが表示されるのもVRならではだ。

今後はオンラインでの対戦機能の開発や、物理演算に基づき現実のラケットやラバーをVR空間内で再現する計画もあるという。

VR導入がショッピングの楽しみ方を変える

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写真:VRと現実世界の卓球はテクノロジーの進化によりどんどん近づいている/撮影:ラリーズ編集部

これまでVRを体験したゼビオの来店客のほとんどは、VR空間内で卓球のプレーを楽しんだ直後に、「店内で現実の卓球をしたくなる」という。

そのため、ゼビオグループの中でも特に卓球用品売場に力を入れる東大阪店では、実際の卓球台に加え、約30本の本格ラケットを用意し、来店客がVR体験後すぐに試打できる環境を整えている。オリンピアンやメダリストたちと同じラケットを試しに打ってみて、自分のプレースタイルに合えば、その場で購入してマイラケットとすることができるのだ。

VRを活用してどのように購買に繋げていくかは今後も継続検証が必要だというが、売り場面積が広く、事業規模を活かしてテクノロジーに投資できる点に大手スポーツ量販店の強みを感じる。

卓球とスポーツ小売の未来がVRでどう変わっていくのか、注目だ。


(卓球DX特集「オランダ発“3D足型計測”で、あなたに最適な卓球シューズがわかる」に続く)
取材・文:川嶋弘文(ラリーズ編集部)