今回は、2020年の全日本選手権男子シングルス優勝などの実績を持ち、琉球アスティーダからTリーグにも参戦している宇田幸矢(明治大学)を紹介します。プロフィール、プレースタイル、使用用具などの、基本情報から、世界ランキング上位にくい込む要因となった国際大会での成績などにも触れていきます。

国内外で数多くの好成績を残し、若くして世界のトップで戦う宇田幸矢。今回はそんな宇田幸矢のプロフィールを見ていきましょう。

宇田幸矢とは

宇田幸矢は、2009年の全日本選手権バンビの部優勝、2011年はカブの部優勝と小学生時代から同世代の中でも頭角を表していました。世界の舞台でも、2017年の世界ジュニア大会では団体準優勝、ダブルス3位に輝き、翌年にはシングルスで準優勝を飾っており、日本のジュニア卓球界を引っ張ってきました。

2020年1月に行われた全日本卓球選手権では、張本智和を下し、令和初の全日本王者に輝き、今後の日本卓球界を引っ張っていくことが期待されています。

宇田幸矢のプロフィール

宇田幸矢(うだゆきや)は2001年8月6日生まれの21歳(2023年2月時点)で東京都調布市出身です。父親の直充さんは東京で「うだ卓」という卓球場を経営しており、姉は名門・専修大学からNTT東日本に進んだ宇田衣里那です。

写真:宇田衣里那/撮影:ラリーズ編集部
写真:宇田衣里那/撮影:ラリーズ編集部

小学生時代は東京の「Meiji C.S.C」で腕を磨き、全日本選手権バンビの部、カブの部で優勝するなど同世代の中でも際立った成績を残してきました。2013年の東アジアホープス選手権では、張本智和(IMG)らとともに男子団体で金メダルを獲得しました。

宇田幸矢
写真:宇田幸矢/撮影:ラリーズ編集部

小学校卒業後はJOCエリートアカデミーに7期生として入学し、2015年には全中男子シングルス優勝を果たすなど中学校進学後も、全国トップレベルの選手として活躍します。高校時代には2018年、2019年と2年連続で全日本選手権ジュニアの部決勝で敗れるなど悔しい思いも味わいますが、高校3年時の2020年の全日本選手権では男子シングルスで見事に優勝を飾り、一躍時の人となりました。

高校卒業後の進路が注目されていた宇田は、明治大学へ進学を決めました。国際大会や国内選考会の兼ね合いもあり大学の大会への出場機会は多くはないものの、1年時のインカレでは男子団体準優勝、全日学では男子シングルスベスト8、男子ダブルス準優勝という成績を残しています。

宇田幸矢(琉球アスティーダ)
写真:宇田幸矢/撮影:ラリーズ編集部

また、Tリーグには2019‐2020シーズンは木下マイスター東京、2020-2021、2021-2022シーズンは琉球アスティーダから参戦し、2019‐2020シーズンはダブルスでベストペア賞を獲得しました。琉球アスティーダでの2シーズンでは、シングルスで14勝を挙げています。

宇田幸矢・戸上隼輔
写真:宇田幸矢と戸上隼輔/撮影:ラリーズ編集部

2021年に開催された東京五輪では日本代表入りを逃したものの、リザーブメンバーとして選出されました。そして、2021年には国内選考会を勝ち抜いて自身初の世界選手権出場を果たすと、戸上との男子ダブルスで銅メダルを獲得しました。

このように、2020年の全日本選手権優勝以降も結果を残してきた宇田ですが、全日本選手権では2021年、2022年と2年連続でのランク入りを逃しており、国際大会でもなかなか優勝を掴めずにいるなど、世界レベルの選手としてステップアップするにはいまひとつ突き抜けられていませんでした。

そんな状況の中、2022年に宇田は自身初の海外リーグ挑戦を表明。琉球アスティーダを退団し、ドイツブンデスリーガのケーニヒスホーフェンへ加入しました。2022年からはパリ五輪国内選考会がスタートし、Tリーグの試合も選考ポイントの対象となることが発表されていたためTリーグを退団しての海外挑戦は大きなリスクでしたが、自分自身の成長を最優先した宇田は異国の地で海外の猛者たちと鎬を削る道を選択します。


写真:宇田幸矢/撮影:ラリーズ編集部

そして、苦しみながらももがき続けてきたきた宇田は、2022年11月のアジア選手権で男子シングルスベスト4入りを果たします。そして、2023年1月の全日本選手権では3年ぶりに男子シングルスベスト8進出を果たし、確かな成長を見せました。

宇田幸矢のプレースタイル

宇田幸矢の戦型は、左シェーク裏裏です。コンパクトですが威力のあるバックハンドを中心に高速卓球をします。前陣でプレーすることが多く、カウンタープレーやテンポの速いラリーが得意です。

宇田幸矢
写真:宇田幸矢/提供:ittfworld

回転量の多い投げ上げサーブから、フォアで攻めていく形が多いです。レシーブはチキータを多用します。

宇田幸矢の使用用具

バタフライの契約選手である宇田幸矢は、ラケットはバタフライの特殊素材の特注ラケット(ZLカーボンシェーク/インナーファイバー仕様)で、ラバーはフォア面にバタフライの「ディグニクス05」、バック面にバタフライの「ディグニクス09C」を使用しています。

宇田幸矢の世界ランキング

宇田幸矢の世界ランキングは22位(2023年2月時点)で、最高ランクは21位(2023年1月)です。2018年10月時点では108位だったものの、11月に90位となり、2019年5月には75位と、順調にランキングを上げていきました。

また、戸上隼輔と組んだダブルスでは2023年2月時点で、世界ランキング1位となっています。

宇田幸矢の国内大会での主な戦績

2009年全日本選手権(バンビの部)男子シングルス:優勝
2011年全日本選手権(カブの部)男子シングルス:優勝
2013年全日本選手権(カデットの部)13歳以下男子シングルス:優勝
2015年全日本選手権(カデットの部)14歳以下男子シングルス:優勝
全中男子シングルス:優勝
2016年全中男子シングルス:準優勝
2018年全日本選手権男子ダブルス:ベスト4、ジュニア男子シングルス:準優勝
2019年全日本選手権ジュニア男子シングルス:準優勝
2020年全日本選手権男子シングルス:優勝
2021年インカレ男子団体:準優勝
全日学男子シングルス:ベスト8、男子ダブルス:準優勝
2022年全日本選手権男子ダブルス:優勝、混合ダブルス:ベスト4
2023年全日本選手権男子シングルス:ベスト8

宇田幸矢の国際大会での主な戦績

2013年東アジアホープス選手権男子団体:優勝
2016年ジュニアサーキットチェコオープンジュニア男子シングルス:優勝
ジュニアサーキットポルトガルオープンジュニア男子シングルス:優勝
2017年ベルギーオープン男子シングルス:ベスト4
世界ジュニア選手権男子ダブルス:ベスト4、男子団体:銀メダル
世界ジュニア選手権男子シングルス:銀メダル、男子団体:銀メダル
2019年ポルトガルオープン男子ダブルス:準優勝
クロアチアオープン男子ダブルス:優勝
アジアジュニア選手権男子ダブルス:金メダル、混合ダブルス:銅メダル
世界ジュニア選手権混合ダブルス:金メダル、男子団体:銅メダル
2020年ハンガリーオープン男子シングルス:準優勝
2021年世界選手権ヒューストン大会男子ダブルス:銅メダル
アジア選手権男子ダブルス:金メダル
2022年WTTシンガポールスマッシュ男子シングルス:ベスト4、男子ダブルス:準優勝
WTTチャンピオンズブダペスト男子シングルス:ベスト8
WTTフィーダーウェストチェスター男子ダブルス:優勝
WTTフィーダーフリーモント男子ダブルス:優勝
アジアカップ男子シングルス:ベスト4

まとめ

小学生の頃から日本卓球界に名を轟かせてきた宇田幸矢。全日本選手権を優勝し、世界での活躍が期待される宇田幸矢の今後に注目です。

文:ラリーズ編集部