中国メディアの新京報は10日付で、中国国内の開発者と弁護士からなる団体が8日、APP Store(アップストア)から大量のアプリを削除したことを「独占行為」として、政府当局に対してアップル社を訴えたと報じた。APP Storeについては、当局からの規制逃れに使える仮想私設網(VPN)アプリの中国市場向け販売を停止したことが注目されていた。

新京報によると、北京達暁法律事務所が中国政府・国家発展改革委員会と国家工商総局に対して、APP Storeから大量のアプリを削除したことや、アプリに対して差別待遇をしていること、販売価格を高く設定していることは、iOSについての独占的な地位を利用した不当な行為として、「挙報(通報)」という形式で訴えた。

この「挙報」は自国政府に、調査を行った上でアップル社に対するアプリ削除取り消しを命じ、行政処罰を行うことを求めたもの。中国で、「独占行為」を理由にアップル社が訴えられるのは初めてだという。

新京報によると、アップル社は6月時点で、APP Storeからの大量削除について、優秀でユーザーにとって安全なアプリを提供することが目的で、2016年後半から古くなったり基準に達していないアプリを排除することを全世界規模で進めてきたと説明していた。

新京報は、中国政府がアップル社のアプリ削除を独占行為と認定する可能性は少ないとの見方を強調した。

アップル社については、8月初旬までに中国向けAPP StoreにおけるVPNアプリの販売を停止していたことが注目されていた。中国政府は自国民による海外サイトへのアクセスに制限を設けている。そのため、通常の方法では一部ニュースサイトや世界的に代表的なSNSであるツイッターやフェイスブックの利用ができないなどで、国外で中国政府への批判的な意見が高まるなどの状況が発生しても、中国国民がインターネットを通じて知ることに困難が伴う。

VPNは中国政府の接続制限を逃れる手段として用いられてきた。しかしVPNの利用についても制限があり、違反行為があったとして関連業者が処罰されたこともあった。中国政府は1月になり改めて、VPNなどを含むインターネット接続についての管理を強化すると発表していた。

米アップル社のティム・クック最高経営責任者は(CEO)1日、中国のAPP StoreにおけるVPNアプリの販売停止にについて「規制の適用を強化した中国政府の要請に応じたもの」、「どの国でも同じように法律を守る」などと説明し、中国政府の方針に従った措置と認めた。

中国における、アップル社によるアプリ削除を「独占行為」と主張して訴える動きと、VPNアプリの販売停止の関係は不明。ただし、規制強化に対しての抗議の思惑がある可能性は否定できない。(翻訳・編集/如月隼人)