中国メディアの界面新聞は9日、北朝鮮との国境の街、遼寧省丹東市の不動産価格が高騰していると報じた。北朝鮮をめぐる国際情勢が改善したことがきっかけで、北朝鮮の経済情勢が改善されれば、丹東市の不動産価格も上昇するとの思惑が生じた。ただし専門家は、投資は不確実要素が多過ぎるので「ばくちだ」との見方を示した。

北朝鮮が「核の放棄」を表明した4月20日以来、丹東市には不動産投資を狙う人が遠隔の地からも押し寄せるようになった。旧市街の物件はほとんど眼中になく、中朝国境の鴨緑江に架けられた鴨緑江大橋に近い丹東新城が投資の対象だ。市は「狂騒状態」を呈しているという。

鴨緑江大橋は中国側の資金で造られ、2013年には主要部分が完成。14年には供用を開始する予定だったが、北朝鮮側が橋に通じる自国内の道路を造らないなどで、現在も開通していない。「北朝鮮が変化して、この橋が開通したら丹東市新城区は飛躍的に発展する」とする期待が高まった。

4月20日以前は新城区内の物件の価格が1平方メートル当たり4000元(約6万9000円)だったが、5月9日までに6000〜7000元に上昇。1平方メートル8000元近い物件もあるという。投資家の間では「丹東は第2の深センになる」との声も出ているという。

しかし、専門家は丹東の急速な発展には懐疑的だ。まず、広東省深セン市の場合には、香港やマカオなどの近隣の繁栄している都市の恩恵を受けた。しかし、北朝鮮は経済の後進国だ。また、深セン市の場合には背後にある広東省全体の経済も発展していた事情もあった。それに対して、丹東市のある遼寧省や吉林、黒竜江の両省の「東北三省」は経済的に疲弊している状態だ。

さらに、北朝鮮の今後が不透明だということもある。北朝鮮はこれまで、韓国などとの提携を通じて経済にテコ入れする姿勢を見せたものの、政策の変更で「元の木阿弥(もくあみ)」という事態を繰り返してきた。

また、丹東市新城区では、収容人口40万人規模の計画で不動産開発が進められているが、丹東市の市街地全体でも、現在の人口は69万7000人だ。しかも郊外や農村部を含めた丹東市の人口は減少し続けている。不動産市場の活気を知るひとつの目安は、中古物件の取り引きの状況とされるが、丹東市における中古物件市場は低迷したままだ。

鴨緑江沿いの高層住宅でも、日暮れ時に点灯している部屋は他の都市に比べて極めて少ない。つまり、購入希望者が多いとしても、実需要を伴っているとは思えないという。

中国の地方都市で、不動産価格が大きく上下した例として、海南省三亜市を挙げることができる。2001年には1平方メートル当たり1400元だった住宅物件価格は02年には2300元、04年には4210元に値上がりした。その後しばらくは安定していたが、07年から再び値上がりし、2012年2月には1平方メートル当たり2万7000元と、一地方都市であるにもかかわらず、上海市、北京市に次ぐ価格になった。

ところがその後、観光業以外にとりたてて産業の支柱がない三亜市の不動産価格は急落し2016年には1平方メートル当たり1万4000元にまで下落。その後は持ち直したが、最近になり三亜市当局は不動産の購入に対して、厳しい制限を設けた。

現在の丹東市の不動産価格の上昇については、三亜市の物件購入のために用意した資金がだぶついたため、丹東市の物件を購入して、短期間内の売り逃げを狙っているだけとの見方も出ている。

丹東市の不動産価格については、産業の裏付けがないなどの点で三亜市に似ているとの指摘もある。そのような状況の場合、不動産投資は「大胆なばくち」であり、リターンを得るまでには「不確実性が充満」しているという。(翻訳・編集/如月隼人)