日本はその成熟したビジネス環境と高い契約精神により、投資先としてますます多くの中国企業に評価されている。しかし初期に「海外進出」した外食産業やサービス産業とは異なり、今や日本市場のニーズは密やかに変化しつつある。日本貿易振興機構(ジェトロ)と中国国際貿易促進委員会(CCPIT)がこのほど共同主催した「中国・北京イノベーション分野の対日投資フォーラム」を取材したところ、今の日本投資の最新のホットワードは「地方」と「イノベーション」であることがわかった。環球時報が伝えた。

■地方都市が魅力を発揮

経済産業省が発表した最新のデータを見ると、日本に投資する外資系企業の約70%が東京に拠点を構え、それ以外は首都圏の神奈川県、日本第2の都市・大阪に拠点を構えるところが多く、地方都市に進出する勇気のある外資系企業は極めてまれだ。しかし実は日本の地方には、技術を持ち、安定的に発展する中小企業が数多く潜んでおり、各地方自治体はさまざまな優遇政策を次々に打ち出して外資の進出をバックアップする。日本市場に初めて進出する外資系企業にしてみれば、地価が極めて高い大都市よりも、地方都市の方が独自の魅力を発揮しつつある。

ジェトロ北京事務所の堂ノ上武夫所長は、「中国企業は東京や大阪のような大都市への投資を好むことを知っているが、地方都市も検討してみることを勧める。日本各地に優れた技術をもつ企業がたくさんある。静岡県、愛知県、岐阜県などの地方都市は悪くない選択で、技術があり、土地コストと運営コストが大都市よりも安い」と述べた。

神戸は日本西部の兵庫県にある港湾都市で、医療関連企業354社が集まり、日本最大規模のバイオ医療クラスターを形成している。在中国神戸市自治体の梅沢章・中国総代表は、「神戸市は医療分野で一定の成果を上げた後、先端分野に積極的に挑戦し、中国企業をはじめとする外資系企業からの投資の誘致に力を入れている。市は外資系企業に対する一連のバックアップ制度を打ち出し、たとえば企業の設立準備のために最長1年間のビザを発給する、事務所の家賃を補助する、3年で最高3300万円の補助金を支給するほか、通信費やハイレベル人材の人件費などたくさんの項目に補助金を出している」と説明した。

地方都市の優遇政策では、横浜市が最も大盤振る舞いだといえる。天然の地理的優位性により、華為(ファーウェイ)、BYD、長城汽車、中国銀行といった大手中国企業が相次いで横浜に進出した。優良企業をさらに多く誘致するため、同市は一定の条件を満たした進出企業に最高50億円の補助金を支給する手厚い優遇政策を打ち出した。横浜市長の指定を受けた公益財団法人横浜企業経営支援財団の上海代表部の川島知子代表は、「横浜は人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)、ロボット、生命科学などのハイテク産業の発展を特に重視し、関連分野の日本内外の企業の横浜進出を促進するための支援政策を打ち出した。このほか、インキュベーション型オフィス、専門家やビジネスコンサルタントの紹介といった特殊なバックアップも行う」と述べた。

■イノベーション企業が人気

状況をみるとわかることは、「イノベーション」が日中両国の政府と企業の代表の口にいつも上るキーワードであり、AIなどの先進分野が日本投資の「ブルーオーシャン」になる。

東京商工リサーチの調査データによると、2030年の日本のAI市場規模は約200億ドルに達し、その頃にはAIがより多くの産業に浸透し、市場規模はさらに拡大を続ける見込みだ。これと同時に、日本の人口は53年に1億人を割り込み、そのため日本ではAIをはじめとする先進技術によって労働生産性を高めることが焦眉の急になるという。ディップ株式会社商品開発本部次世代事業準備室の小澤健祐ディレクターは、「中国は日本と同じように高齢化問題に直面する。日本はある方面ではより多く経験を積んでいるが、全面的デジタル化のプロセスには重大な遅延が生じており、日本企業は技術力の向上を強く願う。中国と日本は連携して共に直面する課題を解決することができる」と述べた。

株式会社ディープコアのインキュベーション・イノベーション部門の渡邊拓マネージャーは、「AIなどのイノベーション分野で、日中には極めて強い相互補完性がある。関連の管理規制措置と個人情報保護などの法律・法規に制限されて、日本市場で取得できるデータの内容は貧弱で質も低い。また、小売、娯楽、メディアなどの分野でB2C(企業・消費者間取引)の事例が少ない。一方、中国は大量のビッグデータを擁するだけでなく、B2Cの応用事例も豊富で、さらに日本にはない実用化の経験も数多く積んでいる」と述べた。

実際、中国イノベーション企業は早くから日本市場での事業展開を試み、一定の反応を得てきた。統計によると、日本は放射線科の医師が5000人に満たず、この人数で膨大な人口基数と受診する患者に対応することは不可能だ。AI医療イノベーション科学技術企業の北京推想科技有限公司はAI事業の1番目の海外進出先に日本を選んだ。臨床試験サンプルを基礎に研究開発した同公司のAI製品は放射線科医師の「画像診断」を補助し、病変がある可能性のある病巣を見つけ出し、医師を基礎的な反復作業の約8割から解放するという。同公司アジア太平洋支社の周暁妍社長は、「AI製品は現時点では医師の代わりにはならないが、医師の力強いアシスタントにはなれる。今後は日本の医師からのフィードバックに基づいて、更新とバージョンアップを繰り返し、よりよい製品を作って医療プロセスに浸透させていきたい」と述べた。

■中国が重要なプレイヤー

「地方」と「イノベーション」が今の対日投資の主な方向性だと言うなら、中国企業はその中でどんな役割を演じるのだろうか。堂ノ上所長は、「日本の地方は高齢化問題が深刻で、各地にはそれぞれが抱える難題もある。日本は成熟した社会として、固有の思考様式がある程度形成されており、新たな発想を生み出すことが難しい。中国の新しい科学技術に学ぶ過程で、日本は多くのヒントを得ることができるし、長らく頭を悩ませてきた問題が、中国の新科学技術を利用して易々と解決できるかもしれない。特に若い中国企業は、AIやビッグデータに関わる技術を数多く確立しており、こうした非常に新しい技術や考え方を日本の難問解決に役立てることができるなら、期待は果てしなく広がる。このような角度からみると、日本を活性化し、日本に新しい活力を与えることのできる中国企業が日本市場の重要なプレイヤーであることに疑問の余地はない」と述べた。(提供/人民網日本語版・編集/KS)