米トランプ政権で中小企業庁の高官を務め、テキサス州の下院補欠選挙に共和党候補として出馬を狙う韓国系の女性が「中国からの移民の入国を拒絶すべきだ」と述べ、物議を醸している。米誌が報じた。彼女は「自分は韓国系だから、こうした発言をしても許される」とも主張しているという。
米誌ニューズウィークによると、この女性はセリー・キムさん。韓国生まれで、子どものころに家族とともに米国に移住し、一家はテキサス州に定住した。2月にテキサス州選出の共和党の下院議員が新型コロナウイルス感染症で死去したため、補欠選挙に立候補しようと同党からはキムさんを含む11人が名乗りを上げている。
キムさんは3月31日に行われた政治集会で「中国からの移民は新型コロナウイルスを持ち込む可能性があるため、米国への入国を認めるべきではない」と訴えた。ダラス・モーニング・ポストによれば、キムさんは集会で中国からの移民について「ここ(米国)にいてほしくない。彼らはわが国の知的財産を盗み、コロナウイルスを持ち込み、やったことの責任も取らない」とも話したという。
さらに「正直なところ、私は韓国系だからこういうことも言える」と言及。ニューズウィークの取材に対しては「リベラル系メディアが私をアジア系米国人に対する(人種的な)憎悪のシンボルに仕立てようとしていることにショックを受けている。中国共産党に異議を唱えたというだけで、アジア系で移民の私に反アジア系、反移民のレッテルを貼ろうとするなんて」と答えた。
米国ではアジア系への襲撃や脅迫といった事件が増えている。3月にはジョージア州アトランタで、アジア系女性6人を含む8人が射殺される事件も起きた。暴力事件の増加には新型コロナウイルスをめぐるトランプ前大統領の中国敵視発言が関係しているとの見方もある。トランプ氏は新型コロナウイルスのことを「中国ウイルス」などと繰り返し呼んだ。
キムさんの発言に強く反発したのがヤング・キムとミシェル・スティールという2人のアジア系の共和党下院議員だ。3月初めに表明していた立候補への支持表明も2日に撤回した。 2人は声明で「韓国系女性として初の共和党下院議員になった者として、私たちはコミュニティーに貢献したいと望むアジア・太平洋諸島系(AAPI)の仲間たちを応援し、引っぱり上げたいと思っている」と語った。
キムさんは米CNNに対し、発言は「中国共産党に向けたもので、アジア系米国人、特にこの圧制的な体制から逃げてきた中国系移民に向けたものではない」と弁明。一方で「発言を撤回するつもりはない」ともしている。(編集/日向)