中国大陸と台湾の指導者が初めて直接に対話したのは本日からちょうど6年前の2015年11月7日だった(馬習会)。台湾の馬英九元総統は7日、フェイスブックを通じて、当時を回想し現状の打開を訴える文章を発表した。特に強調したのは、大陸側と台湾側の双方が1992年の時点で「一つの中国」の原則を共に認めたとされる「九二共識(92コンセンサス)」だ。台湾では「『九二共識』は存在しない」と主張する人もいる。また、中国大陸側は現在の蔡英文政権に向けて、政権発足当初から「九二共識」を認めるよう呼びかけているが、蔡英文政権側は応じていない。以下は馬英九前総統が発表した中国語文章の日本語全訳だ。

6年前の今日、私と大陸の指導者である習近平氏はシンガポールで対話を行いました。

われわれ双方は当時、(台湾海峡の)両岸に海を越える平和の大橋を懸けることだけのために、万難を排し、小異を残して大同を求めました。馬習会は両岸の和解を制度化する過程で、自然に生じた結果です。私が政権を担当した8年間において、両岸は対話を通じて誤解を避け、交流を促進し、両岸の平和と繁栄を維持し、地域の安全と安定を守ることができました。最も重要なことは、両岸がともに「九二共識」を政治の基礎として共有して初めて、両岸の相互信頼が成り立ったことです。

「九二共識」は「中華民国憲法」に基づき樹立されたものです。憲法における位置づけに照らして、両岸の現状は「一中各表(中国は一つであり、台湾側と大陸側のそれぞれが中国を代表する)」であり、「二つの中国」「一中一台」、あるいは台湾の独立は論じない。これは馬習会において、われわれ双方が強調したことです。「九二共識」という共通の政治的基礎により、両岸は対話を維持し、台湾海峡の平和と台湾の安全を守ることができます。

あの両岸の指導者が会った馬習会、および私が政権を担当していた8年間は、両岸の情勢が最も安定し、最も平和で、最も繁栄し、最も対等で尊厳ある交流ができた時期であり、中華民族の共存共栄に最も役立ったとともに、台湾の利益を最も守り抜くことができた時期だったと、多くの友人が私に語りました。

6年が経過した今、私は両岸の情勢が厳しいことを憂慮しています。

民進党は政権の座に就いてから「九二共識」を否定し、馬習会が樹立した両岸の海を越える平和の大橋を受け継ごうとしませんでした。馬習会が両岸のために残した平和の大橋とチャンスのへの扉を否定するのなら、どのような方法で両岸の平和と安定を維持し、一触即発の危機を回避するのかと、民進党政権には尋ねてみたいものです。人々はあなた方に投票して権力を与えました。両岸の困難な状況に対して、中国共産党を非難し、野党に責任を転嫁する以外に、何か実行可能な解决案をお持ちなのでしょうか。

馬習会の6周年である今日、両岸の歴史の高みに立ち、過去を振り返り、未来を展望し、現在の複雑な国際情勢を目の当たりにして、私は両岸の指導者に対して、両岸の人々の幸せに着目し、一刻も早く平和を図り戦いを回避すべきだと、心から訴えます。

私は大陸当局に対しては、中華民族という立場から、両岸問題を何としても平和的な方法で処理することはもちろん、台湾の民主体制を尊重すべきと真剣に考えるべきと、心から訴えます。習近平氏は、両岸の心と魂が合致することを望んでいると述べました。これは努力するに値する方向性であり、中華民族全体の利益にも合致すると考えます。

私は蔡総統に、繰り返しを厭わず改めて呼びかけます。あなたは両岸双方が「和解と平和的対話を共に進める」ことの実現を希望すると述べている以上、もしあなたに困難な状況を解決する良い方法がないのであれば、両岸を元の状態に戻し、「中華民国憲法」の上に樹立されたの「九二共識」に基づいて、6年間閉鎖されていた両岸に懸けられた平和の大橋を再開させてください。そのことを土台として、両岸の指導者は面会し、両岸のために平和を図り戦いを回避することができるのです。

6年前の今日、世界ではだれ一人、両岸が戦争になるとは思っていませんでした。しかし今年5月、英誌「エコノミスト」は台湾を「地球で最も危険な場所」とみなしました。武力とは「凶」なるものであり、戦いは「危」なるものです。いかにして戦争を回避するかは、国家指導者としての最も基本的な責任です。馬習会6周年の今日、私は両岸が相互信頼を再構築し、台湾の人々を安心させ、世界情勢を安定させることを、心から願っています。(翻訳・編集/如月隼人)