独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、新型コロナ感染拡大でロックダウンが続く上海で、移民の問い合わせが急増していると報じた。

記事は、上海市で20日に新たに確認された新型コロナ感染者は1万8495人と前日に比べてやや減少し、当局も先日市内の感染状況はピークを越え、ロックダウンの成果が出ているとの見解を示したとする一方で、2回のワクチン接種率が62%で、3回目の接種率が38%と低い60歳以上の感染者が全体の2割を占めるなど、ワクチン接種ができていないハイリスク群を中心として感染者の多い状態が今後も続く懸念があるとした。

その上で、英フィナンシャル・タイムズが中国国内の移民コンサル企業十数社に問い合わせたところ、最近移民の問い合わせが急増しているとの声が聞かれたとし、上海で移民コンサルティングに従事している人物が「政府はインフルエンザよりもやや重い程度の疾患に抵抗するために、市民を基本的なニーズを犠牲にしている。われわれの顧客は、自らの足をもって政府に対する『投票』を行うことを選択している」と語り、別の移民サービス企業の従業員も「16日だけで200件を超える問い合わせがあった」と明かしたことを伝えた。

また、上海でマーケティング研究に従事し、現在移民について問い合わせを行っているという38歳の女性が「家の中にこれほど長く閉じ込められ、しかも食べるものにまで困るなどとは考えたこともなかった。上海で起きている状況には大きな不安を覚える。随意に隔離される心配がない場所に住みたい」と移民検討の動機を語ったことを紹介した。

記事は、かつて中国人の人気移民先だった米国やカナダは中国との関係が緊張していることで敬遠されるようになり、シンガポールやアイルランドなどが移民先として注目されているという業界関係者の話を紹介。上海と並ぶ主要金融都市の香港も第5波襲来時に企業や人材の撤退ブームが起きたとした上で「オミクロン株が中国経済全体に与える打撃が顕在化するのは、一定の期間が経過してからだろう。中国の大都市が競争力を維持できるのかに注目が集まっている」と伝えた。(翻訳・編集/川尻)