ドイツメディアのドイチェ・ヴェレは12日、香港が新型コロナウイルス対策に中国式の「健康コード」を導入しようとしていることについて、「その効果とプライバシー保護の観点から疑問の声が上がっている」と報じた。

香港の李家超行政長官は12日、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、現行のアプリ「安心出行(リーブホームセーフ)」に中国の「健康コード」に似た赤・黄などで色分けする識別コードや実名制の導入を検討していることを明かした。ドイチェ・ヴェレの記事は「(市民からの)プライバシーを侵害し、政治の道具として使われるとの懸念に対し、香港政府は法律にのっとって運用し、感染対策以外には使用しないと強調したが、疑惑の鎮静化には至らなかった」と指摘した。

李行政長官は「識別コードの適用範囲は狭く、赤(外出制限)は感染が確認された人のみ、黄はホテルで隔離されている人のみを対象としている。将来的には新たな波に対応するため、医療システムへの過負荷を回避したり、識別することによって市民への制限を軽減したりする」とし、政治に利用されるのではとの懸念については「いかなる対策も法律に合致した方法で行う。政府は必ず法律を守る。感染対策以外の範囲で用いることは起こり得ず、現実的でない」と強調した。

また、中国式健康コードの早期の導入を訴える盧寵茂衛生局長官は、記者からの「(中国式健康コード導入は)『安心出行』に実名制は必要ないとしていた前政権の方針を覆すものではないか?」との質問に「変化は永遠に起きるもの。感染症は絶え間なく変化しており、政策も状況に応じて変化が必要だ」との認識を示した。

一方、健康コードの効果を疑問視する声もあるようだ。記事によると、香港大学医学院の金冬雁教授は現地メディア・明報に対し「香港は中国本土と状況が異なり、同じ感染対策をそのまま使用するのは必ずしも現実的でない。健康コードを導入したマカオでは感染拡大に歯止めがかからず、今では半ロックダウンのような状態になってしまっている」と述べた。金氏はまた「香港は重症者と死亡者の減少さえ確保すれば、すでに市民の健康を保障するという目標を達成できる。中国本土の健康コードは市民の外出に影響を及ぼし、形を変えて行動の自由を制限している。社会がこれを受け入れられるか、そして感染対策の目的は何なのかを考える必要がある」とも指摘した。

香港インターネット協会の黄浩華氏は「実名制を導入すれば、大量の個人データを暗号化すること自体は技術的に難しくないが、業者がプログラムを設計した後、どのようにして秘密保持の信頼性を確保するのか、また政府がどのようにフォローするのかが問題」と指摘。データが流出した際の影響に懸念を示した。

さらに、香港の狄志遠議員は中国・河南省での「赤コード」事件を例に、「政府は新しい感染対策が防疫に明らかな効果があるのかどうかということをまず説明し、『健康コード』が政治や公共秩序の維持などに利用されないようにしなければならない」と訴えた。河南省ではこのほど、預金の引き出しが正常に行えなくなった地方銀行の預金者の「健康コード」が突然、外出禁止を示す「赤」になったことから、行動を制限するために「健康コード」を利用したのではないかとの疑惑が浮上していた。(翻訳・編集/北田)