2022年8月31日、中国メディアの観察者網は、高い気温が続く天気に伴う電力供給不足で、電気自動車(EV)を購入した消費者がプラグインハイブリッド車(PHEV)購入者をうらやましがっているとする文章を掲載した。以下はその概要。

厳しい暑さが続く天気と、電力供給制限措置により、EVの充電難問題が再び世論の焦点となっている。一部の公共充電スポットはサービスを停止しているとのことで、営業しているスポットには長蛇の列が発生。炎天下で列に並ぶEVオーナーたちの心境は推して知るべしだろう。

そんな中、充電スポットを奪い合うEVユーザーの間では、充電で焦る必要のないPHEVユーザーをうらやましがる声が出始めている。「過渡期の産物」と見られてきたPHEVが今、がぜん輝きを放ち出したのである。

四川省成都市に住む個人事業主の楊(ヤン)さんは、自宅と職場の往復40キロを移動するためにPHEVを買った。「最初は充電が便利で維持費が安いEVをと思っていたが、近くの駐車場に充電スポットがなかったのでPHEVにした」と語るが、今の状況に「PHEVでラッキーだった」と喜んでいる。電力不足のため、この1週間は基本的にEVモードではなくハイブリッドモードでガソリンを使っているという。ガソリンが使えることで充電や航続距離を気にする必要性が低いことも、PHEVに満足しているポイントとのことだ。

PHEVは始動、中低速走行、急加速などガソリンを多く消費する状況でモーターの威力を発揮する。一方で、高速走行ではほぼガソリンのみを使うため、街乗りで使うとコスト節約の威力を発揮する。とはいえ、どんなシーンであってもEVが誇る低走行コストには遠く及ばない。

ただ、EVの販売価格は同じクラスのPHEVよりワンランク高く、10万キロ走行して販売価格の差を埋められるくらいである。PHEVは効率と経済性のバランスをとった乗り物と言える。また、出始めのころは故障の多さがやゆされてきたが、技術の発展に伴ってそれはもはや過去の話となっている。

現在、中国国内の新エネルギー車市場におけるEVの割合は8割前後で「主流」の路線となっているが、ここ1、2年でPHEVの販売も急上昇し続けている。中国自動車工業協会のデータでは、22年上半期の中国におけるPHEV累計販売台数は53万6000台で、前年同期比2.7倍となった。

新エネ車の保有台数増加に伴い、「充電難」の問題も日増しに際立っている。中国充電連盟によれば、今年6月現在で中国に152万8000台の公共充電スポットが設置されており、前年同期に比べて38万1000台増えたものの、新エネ車の発展ペースには遠く及ばないのが現状だ。

ますます高まるPHEVのニーズに、多くの国内自動車メーカーも座してはいられず、重視してこなかったPHEVに参入してきた。BYDのほか、長城、奇瑞、吉利、五菱も計画を立てたり、すでにハイブリッド用トランスミッション(DHT)を搭載したPHEVを発表したりしている。

この動きに、業界関係者の見方は真っ二つに分かれている。PHEV市場が今後10年は大きな潜在力を持つという見方と、ブームはすぐに過ぎ去り淘汰されていくという見方だ。脱炭素に向けた取り組みの中で議論の絶えないPHEVは新エネ車の発展過程における「過渡期の産物」になることは間違いないだろう。ただ、国内の充電インフラの全面普及が実現するまでの「過渡期」は長くなりそうだ。(翻訳・編集/川尻)